■ 緋色の疑惑@

病院を出たところで高木刑事が「この病院は呪われていますよ」と言った。
前にも色々あったと説明する高木刑事を見ながら、私と新一は青ざめる。
嫌な汗が頬を流れる。


「じゃあ楠田陸道って男の事とか知りませんよね?」
「楠田陸道?
 ああ、そういえばこの病院での爆弾騒ぎの何日か前にこの近くで破損車両が見つかって…
 その車の持ち主が楠田陸道って男でしたよ!」


安室の顔色が変わるのが分かった。
嫌な感じだ。
どんどん安室さんが核心に近づいていっている。
もし、赤井さんが生きているとバレたら、安室さんは赤井さんを組織に差し出すに違いない。
庇っていた新一もただではすまない。


「謎の多い事件でね…
 その破産車両の社内に大量の血が飛び散っていて、一ミリに満たない血痕もあって…」

「あ、名前さん
 少しお話があるのでちょっといいですか?
 家までお送りしますよ」

「え?はい」


新一が私の服の裾を掴んだ
言いたいことはなんとなく分かる


「コナンくん、先帰っててくれる?」


私は大丈夫だからとコナンくんの頭を撫でる
新一は私が頑固なのを知ってる


「分かった!じゃあ後で連絡してね!」

「うん」


家に帰ったら連絡しろってことだと思う
私は新一たちと別れて、安室さんにエスコートされるまま、車に乗った


「お話って何ですか」

「名前さんは赤井秀一と関わったことがありますか?」

「少しだけあります」


“名前、もしバーボンに赤井さんのことを聞かれても完全否定するなよ
 バーボンはお前が赤井さんと接触したことがあると分かった上で聞いてくる。”


「いつ頃ですか?」

「数か月前に組織の事について聞かれました。
 勿論、私は何も知らないので何も言ってません。」


安室さんはじっと私を見た。
落ち着かない気持ちかゆっくりと芽生える。


「安室さんは何をするつもりなんですか?」

「…沖矢昴とはどういう人なんですか?」


安室さんは私の質問をした
何も答える気はないってことかな


「……安室さんが答えないなら私も答えません」

「……こそこそ逃げ隠れしている奴を炙り出そうとしているんですよ」

「沖矢さんは優しくて素敵な方です
 組織には一切関係ない一般人です
 もし、私が原因で沖矢さんに被害が及ぶなら…私はあなたたちを許さない」


安室さんは表情変えない
車はゆっくり走り出した


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