■ ゼロD

悪寒が突然なくなり、ゆっくりと息を吐く
新一たちのところに行かなきゃ…


「ティーカップの飲み口?
 そこに毒が塗ってあったんですか?」

「ええ…口紅が付いていたあたりです…
 被害者の須東伶菜さんが口につけ、ハーブティーと一緒に毒を飲み込むように…」


高木刑事の話を聞いて、容疑をかけられている3人が紅茶の色を考えても無理だと言った
確かに色がバラバラだし、難しい


「とにかく犯人がカップに毒を塗り、須東さんを殺害してのは明白な事実!
 その毒をいれていた容器や袋が現場のどこからも発見されなかったということは病室から外に出た別府さんと八方さんのどちらかが犯人ということになりますな…」

「でも度胸がある犯人だよね?
 だってボクがカップに毒を塗ったら絶対外に出ないもん!
 自分がいない間にカップが拭かれちゃったり、どれが毒のカップかわからなくなっちゃうよ」

「た、確かに…」

「じゃあ犯人はどうやって毒を?毒の容器はどこにいってしまったのでしょう?」という疑問を聞いて、現場を調べ直すといった目暮警部に新一が声をかけた

「そんな必要ないよ!そのカップに毒が塗れて、そのカップから一度も目を離さなかった人がいるじゃない。
 だよね?ゼロの兄ちゃん!」


ゼロ……?


“もう大丈夫だ”

“ゼロ…ありがとう”

“スコッチ……”


記憶の中のゼロが安室さんだとしたら、スコッチが言っていた人は安室さんだ
やっと、見つけた


「その人物は事前に毒を塗ることもその毒の容器を捨てることもでき、病室から一歩も出ることもなく、毒を塗ったカップをすり替えるチャンスを狙っていた人物……
 それは高坂樹理さん……あなたしかいませんよね?」


安室さんの声が静かな病室に響いた気がした


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