■ ゼロ@

蘭ちゃんたちと一緒にお茶をしていると蘭ちゃんのお母さんが具合悪く、病院に運ばれた後に手術を受けることになったらしいと連絡がきた

ベルモットに言われた単独行動をするなという約束を思い出し、蘭ちゃんたちについていくことにした
あのベルモットの態度からただ事じゃないと思ったから従おうと思った
沖矢さんや新一にも話したら、同じようなことを言われた

蘭ちゃんのお母さんの手術が終わり、病室にいると蘭ちゃんのお父さんが勢いよく、病室に入って来た


「英理ィ!」


蘭ちゃんのお父さんとお母さんはなんだかんだで仲が良い
私のお父さんとお母さんもすごく仲良かった


“お母さんとお父さんはなかよしだね”

“そう?嬉しいわ
 ね、お父さん”

“あぁ…”


懐かしい
まだ記憶は残ってる、大丈夫

蘭ちゃんのお母さんの怒鳴り声が聞こえて、ハッとしてみると蘭ちゃんのお父さんと新一が逃げるように病室を出て行った
親子同士の時間を邪魔しちゃいけないと思って、私も病室を出た


「え…」

「あ、名前さんもご一緒だったんですね」

「安室さんどうしてここに……」


この病院は……水無怜奈のいた……



「知り合いの見舞いに来たんですよ
 楠田陸道って言うんですけど…」

「……!」

「その人にお金返してほしくて……名前さんも知ってたりしていませんか?
 コナンくんが前にここにきたことがあるみたいでもしかしたら名前さんも一緒に来たのかと…」

「私はこの病院にあんまり来たことないですし…
 コナンくんと一緒に来たのは今回が初めてなので…」

「そうですか」


安室さんは近くにいた2人の女性にも楠田陸道を知らないかと聞いたが、知らないようだった
確信があってここに来ているはずだ


「毛利先生ならどうです?
 突然名前を出されて『知っているか?』と聞かれたら…」

「そりゃーまぁ、今のおばさんたちみたいに写真とか情報を聞くな…」

「そう、大抵の人は自分の記憶に絶対的な自信はないんです…
 だから普通はNOと言う前にその尋ね人の名前以外の情報を知りたがる…
 君はすごいよ、名前だけで知らない人だと確信できるんだから」


安室さんの質問に新一はきっぱりと知らないと答えたんだ
それは逆に知っていると答えているのと同じだ


「でも咄嗟に声かけられて、上手く反応できない時もありますよね」


私がそういうと安室さんは「そうですね」と笑った


「ガキの言うことを真に受けるなよ…
 会ったことがあっても名前を知らない奴はザラにいるし…
 あだ名とかでしか知らねぇ奴もいるからよ」


その時、近くの男の子が「3、2、1………ゼロー!」と叫んだ
安室さんが異常なまでにその言葉に反応した


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