■ あなたがいなくなる前のこと

「新一、私に全て教えて
 赤井さんに何があったのか…」


私のお願いに、新一は頷いた
そして、そのまま2人で新一の家へ向かう

新一の家に着くと、沖矢さんも待ってましたと言わんばかりにソファーに腰を掛けていた
3人で話をすることになり、私は沖矢さんの隣に座った

あの雨の日に追っていた水無怜奈が組織のメンバーの1人『キール』だったこと
キールを確保して病院に隠していたところに組織のスパイの楠田陸道がきて、組織に居場所がばれてしまったこと
それを利用してわざと水無怜奈を組織とのはしご役として奪還させたこと
そして、それが結果的にキールが赤井さんを殺害するという状況に繋がった

その死の捏造に気づき始めた安室さんが探りを入れている…というのが今の現状らしい


「楠田陸道の件がバレるとまずい………だから……」

「分かってる、誰にも言わないよ
 私は、2人の力になりたい」


2人の力になれるならなんでもできる


「赤井さん……」


新一が赤井さんに了承を得ようとちらりと見た
赤井さんは沖矢さんの姿で悩ましそうな顔をした
変装なのに、表情が分かるようになってきた



「………分かった、だが無理をするな」

「ありがとう、2人とも」


2人の力になれることが嬉しくて、笑みがこぼれる
赤井さんと新一は顔を見合わせて、ポカンとした顔をした


「私、変かな
 2人の力になれるって思ったら嬉しくてにやにやが止まらない」

「可愛らしいと思いますよ」


赤井さんが沖矢さんの口調で言う
これが照れ隠しであることを私は知っている

新一がそれを聞いてギョッとした顔で沖矢さんを見た


「じ、じゃあバーボンがもし真実にたどり着いたとしたら……どうするか考えようか」

「あぁ…バーボンは確実に真実にたどり着く
 そういう男だ」


赤井さんは敵対しているけど、安室さんの有能さを誰よりも理解しているんだ


「まず、名前は極力一人にならないことだ
 バーボンがお前に危害を加えないにしても、何らかの接触をしてくるだろう」

「は、はい」

「ボクも色々探ってみるよ
 一緒に行動することが多いからね」


新一がそういうと赤井さんは頷いた
私にできることは情報を漏らさないことと、バーボンから沖矢さんの存在を隠すことぐらいだ


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