あなたの色に染まる 番外編 | ナノ
そうだ京都に行こうC


「久しぶりだな、ボウヤ」

「赤井さんよりは一回りぐらい年下かもしれないですけど…もうボウヤじゃないですよ」

「すまない、今は新一くんだったな」


新一くんから話しかけてくるなんて珍しい
結婚やアメリカへの移住の時に色々もめたもんだが。


“なまえを今まで守ってきてくれたことは分かってます
 なまえは、俺にとってとても大切な親友なんです
 ……もし、本気で連れていくつもりなら絶対幸せにしてください”


“ああ、約束する。必ず幸せにするから安心してくれ”



「なまえが幸せそうで安心しました。」

「なまえのことを本当に大切に思っているんだな」

「はい、昔何度も助けられてきましたから……」

「なまえの想いは受け入れなかったのにか…?」


新一くんにわざとらしく言うと、新一くんは笑った
ポカンとした俺にこう言った


「赤井さんって……ヤキモチ妬くことってあるんですね
 それほど、なまえのこと好きってことなんでしょうけど…
 2年前のなまえの想い人は赤井さんだけでしたよ
 俺への想いは過去でしかない」

「意地の悪い言い方をしたな……すまない」

「いえ……というか赤井さんまた勝手になまえを連れ出してきたんでしょう
 ちゃんと事前に言ってからの方が良いですよ」

「なまえはアメリカでも楽しそうにはしてるが、たまには日本が恋しくなるみたいでだな…
 すぐ気づいた時に連れてきているから突然になってしまうんだ」

「……赤井さんって色々と不器用なところもあるんですね」


新一くんが興味深そうにそういうので、そうか?と返すと、そうですよと笑顔で返された

実際は、なまえにはうまく思いを告げられていない
もしかしたら、アメリカについてきたことを後悔しているんじゃないかと思った
彼女が本来いるべきは日本なんじゃないかとそう思ってしまった

日本で沖矢昴として暮らしていた頃はほぼ毎日のように一緒にいたが、最近は仕事の都合で朝帰りもよくある
ソファーに倒れ込むように寝るなまえを見ることは決して少なくない。
遅くなるから先に寝ていろと言っても、いつもなまえは待っているのだ、俺の帰りを。
なまえは心のどこかで帰ってきてくれるかもしれないと期待している


「なまえは赤井さんに何言われても傷つかないってわけじゃないですけど、受け入れてくれると思いますよ。なまえはいつだってそうですから」

「そうだな」


チラリとなまえを見ると、一瞬だけ目が合った気がした


× | | ×