夢のあの人
久しぶりにあの日の夢を見た
でも、いつもと状況が違った
目の前にスコッチさんがいて、いつもは長髪の人が血まみれなのが、私になっていた
私が、殺したの?
バッと目が覚めるといつも通りの部屋だった
私が何度か繰り返したあの日は少しずつ変わり始めている
一回目は夢と同じ
二回目は私が原因だった
三回目は私が、殺した
未来で何が起きたのかわからない
私のタイムスリップはそこまで細かく移動できるわけじゃない
一瞬だけ私がその場にいるという感じだ
私が何かしようとしても時間が足りない
「零くん……」
もう冬休みに入り、お互い勉強で会うことは減っていた
受かったら、たくさんどこかに行こうと約束していた
何だろう、何でこんなに心がざわめいているの
私は少しだけ降りそぞく雪の中を歩いていた
辛かった、悲しかった
どうにもできないことが
会いたい、この不安を消し去ってほしい
ふらふらと歩いていると誰がぶつかった
「すみません!」
勢いよく謝ると、「こちらも悪かった」と聞き覚えのある声がした
下げていた頭を上げると、そこには、夢に出てくる長髪の人にそっくりな人が立っていた
自然と涙がこぼれた
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