始まりの日
私は昔から予知夢をよく見ることが多かった
今日は大人になった零くんが死体の前で泣いている夢を見た
零くんの周りには黒い何かが渦巻いていて、私はそれを見て胸が苦しくなった
私に零くんを助けることができる力があれば良かったのに
私は無力だ
見えていても何もできない
私はこの日強く願った
零くんを救う力が欲しいと
:
:
:
「ここは…」
「なまえ、おはよう」
目が覚めると隣に零くんが寝ていて、私は驚き、飛び起きる
それを見て、零くんは楽しそうに笑う
「お、はよう、零くん」
隣にあるカレンダーを見ると、2011年7月17日だった
タイムスリップしてる…?未来に?
「俺は今日少し出かけてくるよ
なまえは昼から講義だろ?」
「うん」
どうやらそうらしい
昔、母がよく言っていた
タイムスリップをした時は、その場の人たちに未来や過去の話をしてはいけないって
あの時はそんなことあるわけないと思っていたが、今は母の助言に感謝した
零くんが出ていった後、私は部屋を見て回った
どうやら、私の家らしく、零くんと同棲しているのかな?
そこまでは分からなかった
でも、まだ夢で見たことは起きてないらしい
「……まだ止められる」
そうつぶやいた時、眩暈がして、そのまま倒れた
× | →