私の想い出 | ナノ

その言葉が嬉しくて


夏休み、零くんが講習会にいくと出かけて行った
帰ってきた零くんは、こういった

「俺、大学を卒業したら、警察学校に行くよ」





私は久しぶりに時を戻した
やり直しをした

必死に止めたけど、結果は一緒だった
ただ、零くんの顔が曇っていたか、いなかったかの違いだ


「……零くん」


過去も未来も変えられない
私はどうしたらいいんだろう

私は泣き疲れて、そのまま眠ってしまった



「なまえ、起きろ」


目が覚めると、大学の講義室だった
みんながそそくさと出ていくので講義は終わってしまったんだろう


「零くん……?」


「なまえ、ご飯どうする?学食行く?」



私は気付かぬうちにタイムスリップをしてしまったらしい
学食、と答えると零くんは嬉しそうに私の手を引いた


ああ、零くんの笑った顔って最後見たのいつだっけ



学食で向かいあわせで食べていると零くんは私に聞いた


「なまえは、未来と過去に行けるならどっちがいい?」


「どうしたの、いきなり」


「なんとなく、気になった」


「……『未来』かな
 零くんは?」


「俺は『今』
 今、なまえと過ごしているこの時が俺にとって一番だ」


選択肢にないじゃんって言いたかったのに、私は言葉を詰まらせてしまった
何も言わない私に、零くんは続ける


「なまえはどんな時でも、未来を選べよ
 未来だけを見つめて、立ち止まるな」


私は泣き虫だ
零が泣き出した私を見て、慌ててハンカチをポケットから取り出す
何そのやさしさ、大好き


「れいくん、だいすき」


他にもたくさん人がいるのに私は、零くんにキスをした





|