想い出 | ナノ

過去の世界


「零くん、どうしたの?
 今日、変だよ」


「いや…なんでもない」


「そう?ならいいけど」


冷静に考える
夢なら今すぐ覚めてほしい

ここは、2004年の世界だ
今、俺は17歳、高校三年生


「零くん、冷や汗すごいよ
 ハンカチ使う?」


可愛らしげに首をかしげながら、俺にハンカチを渡してきたなまえはまだ幼さが残っていた
なまえ、こんなに可愛かったっけ

俺、何か忘れてないか?

何かが、抜け落ちている



「本当に変だね、今日の零くん」



なまえとは、高3の5月ぐらいに付き合いだしたから、今はもう付き合っているということだ
ふわふわと笑うなまえに、無表情ななまえが重なって、吐き気が押し寄せてくる

何かがおかしい


なまえに何かを聞こうとしたところで、目の前が真っ暗になった
俺は何を聞こうとしたんだ…?



気が付くと、公安の自分のデスクのところに座っていた
珍しく、誰もいない

さっきのは夢か?



「降谷さん、どうかしましたか?」


「…風見……、なんでもない」


ふと、手に何か持っていることに気づいた
それは、なまえから受け取ったピンクのハンカチだった


|