告白B


「赤井さん…ありがとうございます…
 すみません、また迎えに来てもらって…」

「気にするな」


赤井さんは電話をするとすぐに来てくれた
何やら近くにたまたまいたらしい
絶対嘘だ
新一が赤井さんに連絡したに違いない

赤井さんの優しさに甘えていた、ずっと
言わなきゃ、今言わなきゃ一生言えない


「私、赤井さん大好きです
 これが最後の恋だっていうくらい」


赤井さんは少し照れているのか、顔を背けた
私は思わず、笑ってしまった


「笑うな…」

「だって、嬉しいんです
 赤井さんと今ここに一緒にいることが」

「そうだな…」


私はベルツリー急行の時も思ったけど、赤井さんのことを何も知らない
同じく、私も赤井さんに話していないことはある

でも、少しずつ知っていけると思うんだ
だって、私たちこんなにお互いを大切に思っているんだから

新一への想いをちゃんと告げることができて、私の心は掃除し終わった部屋みたいに真っ白になった
それがすぐに別の色に塗り替えられていく


「緋色……」

「何か言ったか?」

「なんでもないです」


赤井さんも私の色に染まっているのかな
まだ、別の色が残ってるのかもしれない

私はそれを無理に塗ろうとはしない
それも赤井さんの一部だと思っているから

明美さんのこと、赤井さんは本当に好きだったんだと思う
勿論、ジョディさんも

その色があるから、今の赤井さんがいるんだ
綺麗な色だけが、真実だなんてことはない
濁ってたって、ぐちゃぐちゃだって、その人自身だ

目を瞑って、たくさんの色を想像してみる
赤は赤井さん…でも黒もありかな?
新一は青かな
蘭ちゃんはピンク

想像してると楽しくなる
きっとその色の中にも他の色がたくさん入ってる

我ながら気持ち悪いと思うも、笑ってしまう
その時、車が停まった

驚いて、赤井さんの方を見るといつも閉じられている目が開いていた
その目に見つめられると私は、見惚れて石のように固くなる
赤井さんはメドゥーサか何かなのかな…


「赤井さんは私の色に染まっていますか?」


今の私の表情はかなりだらしないだろう
にやけが止まらない

赤井さんはフッと笑ったので私は目を瞑った
少しかさついた唇は私の唇に重なった
唇が離れたと気づき、目を開けるとそこには近い距離の赤井さんがいて、なんだか照れてしまう


「そんなのとっくに染まってる」


私は嬉しくて、自分から赤井さんにキスをした