告白A


「なまえ、さっきはありがとうな」

「ううん、新一の力になれたなら、良かった」


事件が解決したが、事情聴取が少し入り、バタバタしてしまった
私と新一は早く終わったためにみんなよりも早く外に出ていた
2人っきりだ


「ねぇ、新一」


新一に背を向けながら声をかける
新一は「何だ」といつもと変わらない様子で返事をする


「新一は私にとって、憧れの存在だったんだ
 昔からずっと……」


新一の返事はなかった
私は気にせず、話を続ける


「私ね、みんなに言われたの
 新一に執着してるって
 何でかずっと分からなかった
 でも、やっと分かった」


くるりと回って、新一の方を向く
新一の表情は真剣そのもので、私はにへらと笑った


「ありがとう、新一
 今まで……私ちゃんと新一や蘭ちゃんにお別れ言えてなかったこと後悔してて、今一緒にいれてすごくうれしい
 あの時の私はもっと違うものを求めていたんだろうけど、今の私はこれでいいって思うの」

昔の私なら、お嫁さんになりたいとか言ってたのかな
今のこの想いは新一への恋心の痕なんだ


「蘭ちゃんがいて、新一がいて、哀ちゃんがいて……赤井さんと恋人になれて
 うれしくて、幸せで……」


好きだったなんて言わない
新一ならわかってくれる………って思ってきたのが間違いだった
新一なら新一ならって、私はいつも押し付けてた


「……昔の私は新一に恋をしていたんだよ」

「なまえ…」

「分かってるよ、あのころから新一は蘭ちゃんしか見てなかった
 私の事なんて、近所のお姉さんぐらいに思ってたでしょ」

「……悪い」

「謝らないで、私がちゃんと伝えられていたなら、赤井さんにも失礼なことせずにすんだ
 赤井さん、私よりも私の事理解してるもの……だから気づいてる
 今はそんな赤井さんが大好きで……一緒にいたいと思う」


これは完全な自己満足だ
でも、私はこれがないと前に進めない


「新一、帰ろう
 蘭ちゃんたち終わったって
 私赤井さんに迎えに来てもらうから
 ちゃんと話すよ、赤井さんにも」

「なまえ、ありがとう…」

「え?事件の事?それはいいって…」

「違う、昔の約束だよ」

「覚えてたの…?」


“私は新一のしんゆうだから!なんでも言ってね!約束!”


あの時の私は失恋も恋も知らなくて、ただ言葉だけは分かっていて、だから新一への想いにも気づけず、ここまできてしまった
でも、2人の幸せを誰よりも願っていた

今だってそう、変わらない、何も


「お前は昔から俺の大切な親友だ」

「うん!」


これからもずっと私たちの関係性は変わらない
蘭ちゃんよりも近いところにいるけど、私と新一の間には恋なんてものはない
あるのは、信頼と友情だけだ

小さい時の恋心、私の初恋をきちんと終わらせることができた
ありがとう、新一

心の中でまたお礼を言った
新一に直接言ったら、多分親友だし当たり前だろって言ってくれるんだ