予測不能なことはよく起きるE


「ウーム、どんなトリックにせよ
 あの太った石栗さんの遺体を動かせるのは男の高梨さんしかいないと思ってましたけど…」


安室さんは「ええ、女性には無理そうですね…」と横溝警部に同意した
蘭ちゃんのお父さんが上半身だけなら女性でもできるんじゃないかと提案したが、それも不可能に近い


「そういえば、石栗さんの合鍵って見つかったんですか?」


私の問いに「まだ見つかってません」と横溝警部が答えてくれた
見つかってないとかいうことはもう処分された後かもしれない


「それどんな鍵です?」と安室さんが聞くと横溝警部が部屋の鍵を見せてくれた
無くなったのは、合鍵だから本当の鍵は遺体のポケットの中にあったらしい


「んじゃゴミと一緒に捨てたんじゃねーか?」

「ゴミなら私も蘭と出すの手伝ったわよ!
 そのゴミは高梨さんの車に載せたわ」

「持って帰って出すからって、高梨さんに頼まれて…」


それを聞いて横溝警部が部下の人たちにゴミ袋の中を調べるように指示した
そして、安室さんが蘭ちゃんたちに「他に誰かに頼まれたことは?」と聞き、蘭ちゃんたちは桃園さんが凍らせて飲むのが好きなため、スポーツドリンクを冷蔵庫に戻してほしいと頼まれたと答えた

遺体を発見した時に桃園さんが持っていたため、鍵が入っているかもしれないと蘭ちゃんのお父さんが疑ったが、園子ちゃんが飲ませてもらった時にはもうすでにかなり凍っており、鍵などしまうことはできないと園子ちゃんに反論されていた



しばらくすると横溝警部の部下の人たちが戻ってきて、ごみの袋の中には何もなくスポーツドリンクも凍っていて鍵は入っていそうにないと報告していた
そして遺体の下にあったガットが数か所歪んでいて、花瓶の形と遺体頭部の傷は一致したがなぜか水が入っていたらしい


「水…?」


新一と顔を見合わせる
どうして水が出てきたんだろう

そして、死亡推定時刻は遺体発見の2〜3時間前だが、室温の状態によっては、ずれている可能性もあるらしい


「キッチンでお昼ご飯を食べていたのが遺体発見の3時間前ですから…一応あの3人に犯行の機会はありそうですが…」

「お前、犯人見てねーのかよ!?ずっと部屋ん中にいたんだろ?」

「ぐっすり寝てたから…」


新一は昨日、遅くまで小説読んでたから寝不足でますます爆睡してただろうな…
夜にLineした時にそういってたし……私も遅くまで新一とLineしてたし…



「じゃあわたしと園子が冷やし中華を持って行ったのも覚えてないよね?」

「う、うん!寝てたと思う」

「そういえば蘭、あの時クーラー聞いてるみたいだしって言ってたわよね?
 部屋の外にいたのに何でわかったの?」

「だって、足元がひんやりしてて涼しかったもの!
 扉の下に隙間あるから、そこから冷気が漏れてたんだと思うよ」


その時、新一が何か思いついたように目を開いた
手招きをされて、私は新一の前にしゃがみ込む
こしょこしょと耳元で喋ったそれは、その事件の真相だった