予測不能なことはよく起きるD
「ところで君は何でこの部屋に?」
新一はラケットが当たってこの別荘に運ばれたこと、リビングのクーラーの調子が悪く石栗さんの部屋で寝かせてもらっていたことを横溝警部に説明していた
ということは最初についていたクーラーが新一が起きた時には切れていたということである
横溝警部はテーブルを指をさして、「あれはなんだ?」と新一に聞いた
「ああ、アイスケーキだよ
石栗さんがお昼代わりに食べるって言ってたけど、もう融けちゃってるね」
横溝警部は蘭ちゃんのお父さんに色々説明をしていた
ちょっと距離が離れているから何の話をしているのかは分からないけれど、ちょっと揉めている気がする
そこに安室さんが口をはさんだ
「コナンくんが部屋で寝ていたこととこの鍵のかかった部屋の扉を僕が開けてしまったことが犯人の誤算だったのではないでしょうか…
この二つがなければ、暑さで部屋に入るころには血が乾いていても不自然じゃありませんし…例え誰かがすぐに入っても遺体で見て、それどころではないですからね…
だから、お手柄だね、コナンくん」
さすが、バーボン
組織内でもかなりの切れ者だと聞いていた
だからこそ、スコッチの件も頼んだ
「とにかく、この別荘に来ていて殺人の動機がありそうな3人に話を聞かれてはどうですか?」
安室さんの提案で3人から話を聞くことになった
蘭ちゃんたちもついていくというので、私も一緒についていった
最初は桃園さん
桃園さんは石栗さんに本当に冷やし中華をいらないかと聞きに行った
キッチンに戻り、蘭ちゃんたちとシャワー室へ行き、その後は蘭ちゃんたちとずっと一緒だったらしい
しばらくしてから石栗さんの様子を梅島さんと見に行ったらしい
「石栗さんの部屋の合鍵がなくなったのはいつですか?」
「昨晩だと思います…
私の部屋の引き出しに入れてたんですけど…」
次は梅島さんだった
梅島さんは桃園さんと一緒に石栗さんの様子を見に行った
その後は桃園さんたちの後にシャワーを浴びたらしい
「それで石栗さんはその部屋に…」
「返事はなかったけど、クーラー効いてたし、いたんじゃない?」
梅島さんはシャワーの前後は他の誰かと一緒にいたと証言した
最後は高梨さんだった
高梨さんはお昼ご飯前に石栗さんと喧嘩をしてしまったことをお昼ご飯の片づけをする前に謝りに行った
石栗さんの返事はなかった
「そういえば、その喧嘩…亡くなったサークル仲間が原因でしたよね?」
「ああ、瓜生ってやつがスキーに行ったロッジの裏の雪に埋もれてな…
2メートル近くの新雪が積もってる時にこれなら「落ちても死なない」っていう石栗の冗談を間に受けて…」
去年、ひどい誕生日にしてしまったことを悔やんで昨日瓜生さんの誕生日を祝うために集まったらしい
「なるほど…あなた方3人に石栗さんを殺す動機がありそうですなァ」
でも、新一がいる部屋でどうやって殺害したんだろう
そんな私を安室さんが見ていることに気づかなかった
それに気づいた新一が私にした目配せの意味もわからず、私は首を傾げた