予測不能なことはよく起きる@


アニメ:705〜706話


数日前に園子ちゃんが彼氏さんとテニスをしたいから練習するという話を聞いた
どうせならなまえも来なさいよ!昔、テニス部だって言ってなかったっけ?と前にポアロでお茶した時にポロリと零した言葉を覚えられていて、一緒に行くことになった

私の家の前まで迎えに来てくれるということで待ち合わせの時間にアパートの前で待っていると見覚えのある白い車が私の前に停まった
その車には安室さんが乗っていた
嫌な予感がして、携帯を開く

新着メールが届いていて、開くと園子ちゃんからだった
[車は定員オーバーだから安室さんと来てね💛]と書かれていた

組織の人なら私に危害を加えることはないだろうけど
迂闊に組織の人間と関わるのは避けたい
特に…沖矢さんの知らないところで

でも、こればっかりは仕方ない
私は諦めて、車に乗った
安室さんはこの前のミステリートレインのことがなかったかのような態度だった
私があの場にいたことを知らないから、こういう感じなのだろうけれど

新一はもう戻ってこないんじゃないかと言っていたけど、そんなことはなかった
安室さんの狙いは何なんだろう


「警戒しないでください…
 こんな形でお会いすることになるとは思いませんでしたよ」


安室さんの口ぶりは私が安室さんをバーボンと知っているということに気づいているといった感じだった
きっと、ベルモットが何が言ったんだと思う
ベルモットなら、新一が全て私に話すと分かっていたはずだし


「……私、安室さんとは二人っきりでお話をしたいと思っていました」

「それは光栄ですね
 組織の姫が僕に何の用ですか」


安室さんの声が低くなった気がした
安室さんはバーボンとしての会話の時は声が低くなったり、少し不快そうにする
私が敏感なだけで、きっと普通の人なら違和感を感じないと思う

ただ、他の組織の人とは違う、どちらかというと赤井さんのような…


「スコッチのことです」


車の中は極寒の地のように冷え切った
私は気にせず、続ける
いや、続けなきゃいけない
こればっかりは、誤魔化しちゃいけない


「スコッチは死ぬ前に私に約束してくれたんです
 お前に会わせたい奴がいるから会わせるって
 私、その人を探しているんです
 力を貸してしてくれませんか」


安室さんかもしれないという思いを少しは抱いていた
そうじゃないかもしれない
でも、それでもいい
ただ、スコッチが言っていた人を見つけるヒントが得られたら……


「それを知ってどうするんですか?」

「ただ、会いたいだけです
 スコッチの話は他の組織の人には言えないので……
 それに、私が余計なことをしないための監視役でしょう?」

「……それは自分の立場を理解した上での発言ですか」

「はい」


私は、お願いというよりは少し強制している
組織の人が聞いてくれないなら、どんな手を使っても自分でなんとかすると言っているのだ
組織は私が積極的に何かをすることが嫌なようだから


「僕があなたがそう言いだしたとジンに話したら、どうするんですか」

「……安室さんは他の組織の人とは違うから」


ちょうど目的地に着いたらしく、車は停まった
安室さんはこっちを見ないでただ、まっすぐ前を見ていた


「どうしてそう思うんですか」

「……なんでしょうね」

「……分かりました
 協力します
 僕もあなたに勝手に行動されると困りますから」


安室さんは困ったように笑っていた
妙に安心するのは何故だろう


「どうぞ」


安室さんは車から降りて、私の方にドアを開けてくれた
あれ、やっぱりどこかで会った気がする