緊急事態A


「昴さんだけじゃなく、なまえ……姉ちゃんまでどうしてここに?」

「いやね、夜になっても博士の家の明かりが点かないという話になまえさんとなって…気になって、様子を見に行ったら、玄関の鍵も開いたままだし、誰もいなくてね
そうしたら、無言電話が立て続けにかかってきて、もしかしたら、何かの事件に巻き込まれたのかもしれないと思い、呼びの追跡眼鏡で君たちの探偵バッチの場所を特定したんです」

「まさか…誘拐されたジイさんって…」

「えぇ、君たちがよーく知っている阿笠博士ですよ」
 

沖矢さんがロッカーを開けると、縛られた博士が入っていた


「玄関に鍵がかかっていなかったということはおそらく…誘拐犯は宅配業者を装って家に入り、監禁したのでしょうね」

「博士、発明やってるからお金持ちだって勘違いされたのかも…」


博士は私の小さいころから色々やってたから有名だし
お金持ちだって勘違いされるのはなんとなくわかる
家も立派だしね


「おそらく、そうでしょうね」

「それよりも昴さん
 もう一人の犯人に会わなかったの?」

「ああ…階段のところで気絶していましたよ
 きっと、焦って逃げようとして階段を踏み外したんでしょう」


沖矢さん、嘘ついた!
確かに自分がやったと言ったら、警察からも色々聞かれるだろうし、目立ってしまう
赤井さんだとバレる可能性が上がる


「でも、スーパーマンみたい!」

「ちょっとした異変を察知して助けに来るなんて!」

「そうね、家に明かりが点いてないくらいで様子を見に来るなんて、まるでずーっと見張ってたみたいだわ」


哀ちゃんの言葉がとげとげしかった
赤井さんは昔、組織にいたらしいし、それで同じような気配を感じるのかな


「ええ…実は…帰ってくるのをずーっと見張っていたんですよ
なまえさんから、博士たちは出かけるなんて聞いていないと言っていたので、お昼に作りすぎたカレーをおすそ分けしようと思ってね…」

「カレー!」

「じゃあ、明日の昼はみんなでカレーですね!」

「2日目がうめぇからな!」


沖矢さんは子どもたちの扱いが本当にうまいと思う
あと、受け流し方も
中身はどちらかというと子供が苦手そうな感じの赤井さんだから、ギャップが凄い
思わず笑ってしまうと、沖矢さんに「どうかしましたか?」と聞かれ、「本当に子どもお好きなんですね」と返した

沖矢さんは言葉の意味をなんとなく理解したようで「ええ、まあ…」と微笑んでいた