ちょっとした変化H


「スッゲェ〜!
 お前つえーな!」

「かっこよかったです!」

「いやいや…」

「ありがとう 昴のお兄さん!」

「でもホントなの?さっきの0.12パーセントの話…」

「もちろん でまかせだよ…」

「あの状況下でナイフの刃先をその少女から話すには挑発するしかないと思ってね」


警察の事情聴取も終え、私たちは昴さんの車で帰ることになった
6人も車に乗れるだろうか……私乗れなかったらタクシーでも呼ぼう
ちょっと痛い出費だけど、仕方ないか


「もちろん、助手席はなまえお姉さんだよね!」


歩美ちゃんが突然そんなことを言い出したので、私は驚いて目を見開いた
すっごい顔をしていたらしく、新一も驚いていた


「え?なんで…?」

「だって、昴さんとなまえお姉さん、さっきから何かいい感じなんだもん!」


子ども怖い
ここまではっきり言うなんて、しかも哀ちゃんの前で言わないで……
すっごい睨んでる
後は話があるから覚悟してなさいよって目だ

なんだかんだで沖矢さんと子どもたちに言いくるめられて、結局助手席に座ることになった

子どもたちは眠くなったようで新一や哀ちゃんも含めてみんな寝ていた


「なまえさん、魚釣りお得意なんですね」

「そんなことないです、初めてですし…」

「……なまえさん、そんな意識されると期待してしまいますよ」

「え?」


赤信号で車が止まるのと同時に沖矢さんは私の頬に優しく触れた
驚いて、沖矢さんの方を見ると沖矢さんと私の距離はほぼなくて


「おきやさ…」


後に続く言葉は沖矢さんが唇を塞いだために、外に出ることはなかった
気が付くと、青信号でまた車は走り出した

私は何が起きたのか分からなかった
その後、沖矢さんと何か会話をした気がするが、全く思い出せない
多分、いつもと変わらない日常の出来事も話だった

キスについての話題は全く触れられなかった


「お、送ってくださりありがとうございました…」

「誰にでもキスするわけじゃない……」

「え、それってどういう…」

「……なまえさんをお慕いしているということですよ」

「!」

「では、また
 返事はすぐじゃなくていいですから」


眠っている子どもたちを乗せた昴さんの車が見えなくなるまで見つめていた
沖矢さんにキスされたことを思いだし、また顔が熱くなった


「……どうしよう」


沖矢さんに心揺れていると言ったら、赤井さんはこんな私に失望するだろうか?