忘れられるはずのない人A


少年探偵団のみんながカレー作るから食べに来ないかと誘われたので、ご馳走になることになった

できるまでは邪魔になると思って、新一の家で沖矢さんと過ごしていた
突然沖矢さんが立ち上がって、玄関へ向かおうとしていた


「沖矢さん、どうかしたんですか?」

「子どもたちがでかけるようなので」

「ついていくんですか?」

「はい、なまえさんは留守番しててください」

「え、ちょっと…」


赤井さんは哀ちゃんに過保護だと思う
理由は分からないけれど、哀ちゃんが警戒してるから仲良くなりたいだけだと思っていた
でも、沖矢さんの中身が赤井さんだと知った今、その考えは消えた


「またひとりぼっちだ」


これは蘭ちゃんと新一が仲良くて私がよく置いていかれるパターンに似ている
すると、すぐにまた沖矢さんが帰ってきた
おかえりなさいと言うも、聞こえていないようだった

耳に黒いイヤフォンのようなものをつけて、窓から博士の家の様子をうかがっているようだった
きっと、また私の知らないところで何かが起きている

私はスマホの中にある画像を見つめていた
懐かしい画像を見つけて、私はタップした


「……スコッチ」


以前、私の監視役だった人
スパイだとバレて、始末したとベルモットが言っていた
私は彼のことを兄のように慕っていたし、彼も私の事を妹のように可愛がってくれた
死んだと聞いた時はショックで何日も何も食べられない状態になった
倒れて、病院に運ばれたこともあった

そういう点では赤井さんが死んだと聞いた時よりも、何倍も動揺した

今の私は悪い意味で、死というものを身近に感じすぎているのかもしれない


「………会いたい」


その時、肩をつかまれた
驚いて、振り返ると沖矢さんが険しい顔をしていた


「お、沖矢さん…?」

「スコッチを知っているのか?」

「昔、私の監視役だったから…
 沖矢さんも知ってるの?」

「あぁ…」


なんとなく深くは聞かない方が良い気がした
沖矢さんの表情は険しかったが、どこか悲しそうだった