もう一人の探偵A


「空手じゃないよ
 あれは截拳道といって、空手やボクシングなどの色々な技を取り入れた武術だよ
 まあ、目や喉なんかの急所攻撃もありだから、かなりえぐいみたいだけどね」

「それより、ケーキバイキングってどこでやってるの?」

「ネットには二階のカフェって出てたけど」


そんなわけでエレベーターに駆け込もうとすると、でてきた女性にこのエレベーターだとカフェには行けないと言われた
別のエレベーターの場所を教えてもらい、なんとかカフェに着いた


「ウソォ!?
締め切っちゃったの!?ケーキバイキング!」


予想以上のお客さんにケーキが足りないと従業員さんが申し訳なさそうに頭を下げていた


「ケーキバイキングやるなら前もってドーンと用意しておきなさいよ、ドーンと!」


園子ちゃんが言い終わるのと同時にドーンと大きな音が響いた
その後、すぐに悲鳴が聞こえ、新一が走り出した
私も後を追うように走る


「何があったの?」

「車をバックさせてた突端にこの人が上から…
 い、今屋上に変な人影が!」


私も目を向けたけど、それらしき人影が見当たらなかった
私たちは急いで屋上に向かった

屋上に着くと上着の上に靴が置いてあった
これじゃあまるで…


「じ、自殺…?」

「じゃあ昼川さんが見たって人形は?」

「この上着が風でなびいているのがそう見えたのかも…」

「私のせいね…彼を追い詰めたから…」


私は妙にこの発言が引っ掛かった
気のせいかもしれないけど


「いや…これはおそらく…」

「殺人だよね?コナンくん?」

「さっきの…!」


すると周りにいた人たちが自殺じゃないのか!?と騒ぎ始めた


「それってただの先入観だよ?
 ボクは今まで何件もの投身自殺の現場を見てきたけど、靴を履いてない遺体はほとんどなかった」


この人は一体…
私が見つめていると、また目が合って、笑いかけられた
新一が顔をしかめた


「ドラマや映画での自殺シーンの影響を受けた被害者がそうした可能性もあるけど…その人は酔っていたみたいだし、きちんと置くなんてありえない
関係ない人の悪戯って説も却下
となると、犯人が自殺と見せかけるために靴を置いたとしか思えないだろ?
だよなあ、ボウヤ?」


「何者だね、君は!?」

「ボクの名前は世良
 このボウヤと同じ探偵だよ」