ちょっとした変化C


私は、一角岩の隅で座り込んでいた
死体を見て、いつものショック症状が出てしまった
体に力が入らない


「大丈夫ですか、なまえさん」

「あ、はい、大丈夫です」


沖矢さんがいつもより距離が近いので、距離を取ろうと一歩下がる


「なら、いいんです」


沖矢さんは楽しそうに笑っていた
もしかして、私からからわれてる…?


「でも、本当にダメそうならすぐに言ってくださいね」

「は、はい」


そういうと沖矢さんは捜査の方に戻って行った
私は死を身近に感じるのがまだ怖いのだ


「光里お嬢様!?」


船が一隻、一角岩に近づいてきた
どうやら殺害された人の知り合いらしい

私は離れたところでその様子を見ていた
すると、哀ちゃんが近づいてきて、私の隣に座った


「あなたは参加しないの?」

「あまり事件は得意じゃないんだ…」

「工藤くんはあなたに参加してほしいんじゃないかしら
 たまに工藤くん並に鋭い時があるじゃない?」

「それは哀ちゃんでしょ…」

「私はあの人がいる限りは近付けないわよ」


哀ちゃんは怖い顔で沖矢さんを見ていた
私は沖矢さんから組織の気配は感じられない
でも、突然現れて、私に絡んでくる人は大抵組織の人間だと思ってる


「…あなたもあの人には気をつけなさい」

「……うん」

「なまえも一緒なら戻ってもいいわ」

「じゃあ一緒に捜査に混ざろうか」


哀ちゃんは私を気遣ってくれたのだろう
本当に優しい、大好き

昔から全然変わらない、そういう素直じゃないとこ
にやにや笑ってると、哀ちゃんに睨まれた