緋色の秘密


アニメ:578話〜581話


「よければ、一緒にショッピングでもどうですか?」


博士を訪ねたら、たまたま出かけてしまったようで、誰もいなかった
帰ろうとしたら、たまたま家から出て来た沖矢さんから買い物に誘われた
この間のこともあり、沖矢さんと二人っきりになる勇気なんて私にはなく、断ろうとしたが、結局行くことになってしまった

沖矢さんと一緒に歩いてるのは少し緊張する
すれ違う女の人たちは頬を赤く染めて、チラチラと見てくる
そして、隣の私を見て、がっかりしたような顔をする

気まずい…私の気持ちはその一言だった


「沖矢さん、何か欲しいものでもあるんですか?」

「いえ…ただ、たまには出かけてみようかなと思いまして」

「あ、あの…私欲しいものがあって、見てきていいんですか」

「はい、私も見たいものを思い出したので、なまえさん終わったら、メールください」

「あ、はい!」


突然、どうしたんだろう
私は少し気になったものの、雑貨屋さんへ入った


「……んん、新一にはこれかなあ」


新一にプレゼントを渡したかったのだ
できたら、蘭ちゃんとお揃いで
きっとそれだと恥ずかしがるだろうから、私と蘭ちゃんと新一とで3人でお揃いって手にでるしかない
大きなお世話かもしれないが、あの2人はいい加減にくっついてもいいと思う
組織のことがあって、まだ新一が踏み切れないんだろうけども…

思いは告げられるうちに伝えておいた方が良い
私は、そうしないで後悔した

蘭ちゃんにはピンクのなまこ男が付いたキーホルダー、色違いでブルーと赤いなまこ男があったので、新一には青、私は赤にした

レジに向かって会計をすませて、店を出ると人ごみの中にいるはずのない人がいた


「……赤井さん?」


あっちは私を見ると、目を開いて、元来た道に戻って行った
私も後を追うように走る

赤井さんが生きてた?
そんなはず……
じゃあ誰?
私の中でいろんな感情が混ざり合う

そんな時、背後から誰かに手を引かれた
反動で、私は背後の人の方へ下がる


「追うな…」

「お、沖矢さん…?」


表情は見えないが、初めて聞く沖矢さんの低い声に私はゾクッとした感覚に襲われた
口調は赤井さん、でも姿は沖矢さん

まるで、新一みたいだ
嘘だ、そんなはずは………


「話は後でする
 とりあえず、帰りましょう」

「……」


茫然とする私を手を沖矢さんが引いて、車まで連れて行ってくれた







家に着くと、沖矢さんが今から話すことは他言無用でお願いしますと、私に説明をし始めた


「沖矢さんが赤井さんなの…?」

「あぁ…」


沖矢さんが首元を押すとピッと言う音がした
その瞬間、赤井さんの声に変わった

変声器…!
そうだ、博士にならこれくらい作れる
新一なら、すべて知ってたに違いない
下手して、新一が首謀者だ


「…良かった…生きてて…
 私赤井さんが死んでどれだけ…」

「亡くなった好きな人とは俺の事か?」

「!?」


そういえば、沖矢さんにそんなことを言った気がする
私は事の重大さに気づき、顔を真っ青にした後に、真っ赤になった
赤井さんがフッと笑うと私を抱きしめた

私の目からは涙がこぼれた
赤井さんが腕ごと抱きしめるから、背中には手を回せなかった