忘れられるはずのない人@
「……あなたずいぶん事件に巻き込まれるわね
家もとうとう失うなんて、お祓いでもしてもらった方が良いんじゃない?」
「私ツイてないかもしれない
ごめんベルモット、ありがとう」
「服とかのお金は気にしなくていいわ
今と同じあたりにアパートも見つかって良かったわね」
「うん」
ベルモットは私からの電話を受けてすぐにアパートを見つけてくれた
前のアパートもなかなか気に入っていたので、少し悲しくなったけど、新しいアパートも素敵だったので良かった
「そういえば、あなたに伝え忘れていたことがあったわ」
「?」
「バーボンが動き出したわ
あなたはまだ会ったことなかったわよね?
姿を現すことになるかもしれないけど…あなたには名乗らないかもしれない」
「どうして?」
「分からないわ、バーボンがそういっていたの
多分、ジンがあなたの監視役に厳しいからじゃないかしら…
前にあなたの監視役についた男がスパイだったことがあったでしょう?
その男は結局名前も分からず、始末されたけど…」
「……覚えてない」
「…そう」
ベルモットはまた来るわと言って、家を出ていった
ガチャリと鍵を閉める
「……忘れられるわけがない」
“また来てくれたんだね!”
“ああ、元気かなまえ”
“うん!”
“何かあったらすぐに相談していいんだからな
なまえは1人で悩んで溜めこむ…俺の知り合いによく似ている”
“私に似てるんだ、今度会わせてね”
“あぁ…”
この日が最後の会話だった
その人の名前は知らなかった
それでも私は凄くあの人に感謝をしていた
“守ってやるよ”
その言葉だけで私は救われた