都合のいい夢


朝起きると新一の家にいた

熱を測ると37.7℃、微熱だった
新一から、しばらく休むように言われた
新一は昔から、私が熱を出すと逃げ出さないようによく見張りに来ていた
何故か、蘭ちゃんは絶対に来させなかった
私がぴんぴんしている頃には新一が熱を出してダウンしていた
私も新一と同じように見張るというと、めちゃくちゃ怒られた、理不尽

しばらくすると、新一から昨日の事件の真相や沖矢さんが新一の家に住むことになったという話を聞かされた
熱で浮かされた頭でなんとか理解したが、明日には忘れていそうだ


「……新一ありがとう
 新一に風邪移ったら大変だから、離れて」

「お前、この先住む場所はどうするつもりなんだ?」

「多分、ベルモットに連絡して新しいアパートを探してもらうことになると思う」

「ここに住めば……」

「それはダメだよ
 沖矢さんを危険な目に遭わせるかもしれないし、いくら男の人でも一般の人は…」


最後までいい終える前に私は、突然睡魔に襲われた
あまりの眠さにまぶたが重い

私はそのまま眠ってしまった







誰かがドアを開けて入ってきた音がした
眠くて目が開けられない

誰かが私のおでこに手を乗せた
それは冷たくて、気持ちよかった
私がすり寄るように顔を寄せるとその手は私の頬を優しく撫でた

頑張って目を開くと、そこには赤井さんがいた


「あ、あかいさん…」


私はずいぶん都合のいい夢を見ているらしい
赤井さんが私に触れているなんて


「……俺はここにいる」


赤井さんは何が起きても私の傍にいてくれるって言ってくれましたもんね
私、赤井さんに言いたいことたくさんあるのに、私の身体はいうことをきかない


「あ、あかいさん…もうどこにも行かないで」

「……心配するな、もうどこにもいかない」


私は嬉しくて頬が緩んだ
目からは涙が流れて、私はそのまままた眠りについた

起きると、沖矢さんが私が寝ているベットの横に置かれた椅子に座り、壁に寄りかかりながら、眠っていた