その者、シンデレラの恋を知る




「久しぶりね、なまえ
ちょうどこの辺まで来たから、話をしに来たわ」

「ベルモット…」

「ずいぶんやつれたわね、あなた」

「そうかな…」

「赤井秀一が死んだことは知っているわよね?」


私はゆっくりと頷いた
心の中ではまだ認めたくないのかもしれない
口を出しては言えなかった


「あなたのやつれの原因は赤井秀一?
あなた…まさか…」

「好きだった、死んでから気づいたけど」

「……あなたは母親によく似ているわ
危険の中で生きてる男を好きになる」



“ウェルシュ、あなたと組んで仕事をすることになるなんてね…”

“ベルモット、お前ほどの女でもしくじることはある
 油断するなよ”

“こっちの台詞よ
 私に余計な仕事をさせないでね”


「あなたの父親は危険の中で生きる男だったわ…」


ベルモットは少し悲しげにそういった
私はベルモットのこんな表情を初めて見た
両親が死んでから1年ほどはベルモットと暮らしていた
だから、私にとってベルモットは母親代わりだった
身元保証人もベルモットが偽名と偽の戸籍を使って、なっている


「……なまえ、あなたは幸せになれるわ
 私とは違い、普通に生きているのだから」

「ベルモット、ありがとう」


ベルモットは私を抱きしめてくれた
私は背中に手を回した