雨の中での暗躍C


「彼は殺し屋を差し向けられても、返り討ちにしてしまった猛者…
私たちが守らなくても大丈夫な気がするけど…」


「いや…狙っているのは黒ずくめの奴らだ
油断ならねーよ!」


哀ちゃんが土門さんの後援会事務所の電話番号や今日の予定を調べて、ジョディさんが事務所に連絡をかけることになった

すると、新一が哀ちゃんをじっと見つめた


「何?」

「あ、いや…オメー変わったなあと思ってよ
だって、前まで奴がからむと『止めなさい』『危険だ』『逃げた方がいい』ばっかだったじゃねーか」

「当たり前でしょ?
今回はあなたが不用意に仕掛けた発信器と盗聴器が彼らの仲間の1人の靴に付着してしまってるのよ!
あれが見つかれば、あなたやあなたの周りの人間、つまり私にも火の粉が飛んでくるんだから……特になまえは彼らにばれたら……」

「そりゃあそうだけどよ…」

「それに…」


哀ちゃんはそのまま、口を閉ざした
私も逃げちゃだめだと思った
もしそれで、組織からの報復があったとしても……


「それになんだよ?」


ジョディさんが咳払いをして哀ちゃんに親指を立てた
そして、ジョディさんが電話をかけると居場所は分からないと告げられた
命を狙っているというと、電話相手は大丈夫だと言って、電話を切ってしまった


「あ、ちょっと…」

「エディP…エディP…一体どこなんだ
くそっ!奴らが言ってた暗殺の時間まであと30分もねえ!」


博士がTV局に向かった方が良いのではないかと提案したら、哀ちゃんも「狩り場が分かったとしても先回りはできない」と博士の考えに賛成する意思を見せた


「狩り場か…」

「新一、ベルモットとか何かそれっぽいヒントとか言ってなかったの?」


新一は私の問いを聞き、考え込んでいた
もしかしたら、何か引っかかる言葉があったのかもしれない
良いヒントになったなら良かった


「狩り場にうってつけ…向こうの歴史…」


新一がぶつぶつと呟き始めたので本格的にスイッチが入っているなと私は少し黙ることにした
すると新一の携帯が鳴り、新一は慌てて電話に出た


「もしもし…
 ご、ごめんなさい蘭姉ちゃん…
 あ、もう観覧車に乗る番になったからまた後でね!」


どうやら蘭ちゃんからだったらしい
きっといきなり電話をかけられて、「トロピカルランドに行く」とでも言って切ったのだと思う
私も新一の隣にいて、推理力が上がったかもしれない


「Oh,クールキッド!
 まるで二重人格ね!」


新一はジョディさんの言葉でひらめいたらしく、博士に高速に入るように指示した
こういう時の新一って本当にかっこいいな
昔と一緒だ……昔から、私は……


「高速?じゃが、あれに乗るとTV局からずいぶん離れてしまうぞ」

「離れてもいいんだよ
先回りするんだからな」

「え?じゃあまさか…」

「ああ、やっとわかったぜ
奴らが土門さんを暗殺しようとしているエディPが杯戸公園だってことがな!」


哀ちゃんが私の顔をチラリと見た気がした。
私も哀ちゃんの方を見ると、すぐに顔を逸らされてしまった