昔と何も変わらない


「新一、迎えに来てくれてありがとう
私、探偵事務所の場所忘れちゃって…」

「お前は昔っから、方向音痴だよな……」

「いつもこうして、新一が迎えに来てくれたよね、懐かしいな」

「お前は怪我はもういいのか」


私の包帯が巻かれた足を見ながら新一は心配そうに言った
心配性のところも全く変わっていない新一に私は思わず笑みがこぼれた


「平気、少し痛むけどもう歩けるし…」

「……蘭があの後俺にお前のこと聞いてきてな…
それで“コナン君、何か知ってるなら教えて。私なまえに会いたいの”って…」

「蘭ちゃんも私のこと覚えててくれたんだ」

「蘭も俺もお前のこと忘れた日はねーよ……」


ごめんねと謝ると、もういなくなるなよと言われた
寂しかったんだろうな、新一も蘭ちゃんも
それでも、私も同じ気持ちだったことを新一も分かっているようで、それ以上は何も言わなかった


「ここだ、今度から1人で来れるようにしろよ……
これからはよく来ることになるだろうし…」

「……うん!」


そうだ、これからは会いに来てもいいんだ
私は弾んだ足取りで、階段を上った
それと同時にバクバクと心臓の音が激しくなった


「蘭姉ちゃん、ただいまあ!」

「おかえりなさい、コナンく…」


蘭ちゃんは私を見たまま、固まった
どうしたらいいのか分からず、とりあえず声をかけた


「えっと……覚えてるかな……わた…」


言い終わる前に蘭ちゃんは「なまえ!」と私に向かって走ってきて、そのまま飛びついた


「会いたかった……今までどこにいたの」

「ごめんね…すぐ引っ越さなきゃいけなくなって…蘭ちゃんたちにちゃんとお別れ言えなくて……」

「もういなくならないで」

「うん」


私は蘭ちゃんを強く抱きしめた
ずっと願ってきたことが叶った

私と蘭ちゃんは再会を喜んだ
いくら話しても話足りないくらいだった
昔の思い出を話していると、2人して泣き出してしまった
その後、泣き疲れ、ソファーで眠ってしまった


新一がそれを微笑ましそうに見ていた