赤い林檎


「くっ!」


ベルモットが赤井さんを撃とうとした瞬間、赤井さんはショットガンで躊躇なく、ベルモットを撃った
私は怖くなって、思わず目を瞑って、顔を背けた


「うっ!」


ベルモットの唸る声がした
でも、怖くて目が開けれなかった


「ダメよシュウ!殺しちゃ…」

「安心しろ…
防弾着やパッドを重ねて体中に装着していることぐらい、奴の動きで分かる
アバラは二、三本折れただろうがな…」


恐る恐る目を開けるとベルモットが新一を車に連れ込み、走り出した
そしてミラーごしにガソリンタンクを撃ち抜いた
爆発音がして、私はキュッとまた目を瞑った


「あの体でミラーごしにガソリンタンクを撃ち抜くとは…
やるねぇ…」

「何関心してるのよ!
人質とられて逃げられちゃったじゃない!」

「自分の車のキーぐらい抜いておけよ」

「わ、悪かったわね…」


ジョディさんと赤井さんが何やら言い合いをしていた
また銃声が聞こえ、かすかにパトカーの音も聞こえ始めた

俯いていると、目の前に男物の靴が見えて、顔を上げると赤井さんが立っていた


「約束、守ってくれなかったな」

「すみません
でも、私に志保ちゃんを止めることはできなかったんですよ」

「……足を折れていないみたいだな」

「ヒビは入ってるかもしれないですけど……」


私の体はふわっと浮かんだ
気づくと赤井さんが私を横抱きしていた


「あ、赤井さん…!」

「歩けないんだろう?家まで送る
それに君がここにいると色々と厄介なことになりそうだしな」

「ご迷惑おかけします…」


私の顔は林檎のように真っ赤だっただろう
私は男性にこういうことをされたこともないし、あまり関わってもこなかったのだ
さすがにいきなりこれはハードルが高い
赤井さんは「赤い林檎(レッドアップル)だな」と軽く笑っていた


「わ、笑わないでください!」