金の林檎と腐った林檎


「……赤井秀一!?」


ベルモットが驚いたように声を上げた
私は赤井秀一という人をいまいちよく理解していないのだが、ベルモットの様子を見るに、かなりの人なんだということが分かった


「もっとも、両足を折られて当分は商売はできんだろうがな…」


赤井さんはカルドバス?という人から奪ったらしい武器をたくさん持っていた
今まで生きてきて、こんなに銃を見たことがない私は少し恐怖を感じた

軽く震える私を赤井さんがチラッと見た
チラッと見た目でまるで安心しろと言っているようでもあったし、約束を守らなかった私を責めているようにも見える


“君に助けを借りたい”

“私にできることならお手伝いしますけど……”

“実はな……ベルモットがボウヤを遠ざけて、茶髪の子と殺そうとしているらしくてな”

“志保ちゃんですか”

“ああ、それで君には彼女を監視してほしい
絶対にこちらの方に近づけないでくれ”


私は赤井さんにここの場所が書いてあるメモをもらっていた
最初はそうするつもりだったし、私も哀ちゃんを守りたかった


“もう逃げないって決めたの”


あの覚悟を持った目を見たら、私は哀ちゃんを止められなかった
私自身も組織から逃げちゃいけないって思った


「まぁカルバドスはリンゴの蒸留酒…
腐った林檎の相棒にはお似合いってトコロか…」

「腐った林檎?」

「アンタに付けた標的名だ…
大女優シャロンが脚光を浴びたのは舞台のゴールデンアップル
あの時のまま、あんたは綺麗だが…
中身はシワシワの腐った林檎(ラットゥンアップル)ってな」

「!」