安心感を与える人
「どうして、あなたがここに…」
「に、逃げろ灰原!!早くここか……ら!?」
ベルモットは新一の腕を掴んだ
そして新一の腕についている麻酔銃で新一を眠らせた
「バカな女…
このボウヤの可愛い計画を台無しにして、なまえまで連れてわざわざ死にに来るなんて」
ベルモットは私の隣に立っている志保ちゃんに銃を向けた
「どきなさい、なまえ」
私は動かず、ベルモットをキッと睨んだ
ベルモットは「あなたが悪いのよ」と言った
その時、銃声が聞こえた
しばらくして、自分の足が撃たれたことに気づく
足に痛みが走り、血が流れた
「!」
「あなたは組織に危害を加えられないという約束にはなっているけれど、組織の邪魔をした時は殺しさえしなければ攻撃をしてもいいことになっているのよ」
私の足は激痛でとてもじゃないが、歩ける状態ではなくなった
私はそのまま座り込んだ
足に力が入らない、このままじゃ哀ちゃんが……
哀ちゃんはそのことに気づくと、私から距離を取った
「哀ちゃん!」
「ただ、死にに来たんじゃないわ…
すべてを終わらせに来たのよ
たとえあなたが捕まっても、私が生きているかぎり、あなたたちの追跡は途絶えそうにないから……
約束してくれる?私以外の人には手をかけないって…」
「いいわ、FBIのこの女以外は助けてあげる
でも、まずはシェリー、貴方からよ
恨むならこんな愚かな研究を引き継いだ貴方の両親を…」
ドタンと大きな音がした
音の方を見ると、車のトランクが開いていた
出てきたのは会いたくてたまらなかった蘭ちゃんだった
蘭ちゃんが狙撃を避けながら、私の目の前を過ぎ去って、哀ちゃんに飛びついていた
ベルモットが必死に仲間を止めたおかげで、蘭ちゃんも哀ちゃんも無傷のようだった
「Move it,Angel!(どいてエンジェル!)」
蘭ちゃんは哀ちゃんを強く抱きしめ、離れなかった
そして、気が付くとジョディさんが狙撃の死角に入っていて、ベルモットに向かって銃を構えていた
「!」
それと同時に倉庫の方からカツカツと足音が響いた
ベルモットが笑みを浮かべる
まさか、組織の仲間が降りて来た!?
「OK、カルバドス…
挟み打ちよ!
さあ貴方愛用のそのレミントンで、FBIの子猫ちゃんをふっ飛ばして…」
なんとかジョディさんの元へ行こうとしたが、足が思うように動かず、唇をかみしめてみていることしかできない
残酷にも、カツカツという足音はどんどん近づいてくる
「ほ――……
あの男、カルバドスというのか
ライフルにショットガンに拳銃三丁
どこかの武器商人かと思ったぞ…」
「赤井さん……!」
彼が来たことで私の心に謎の安心感が芽生えた
ジョディさんもそのようで、緊張で張りつめていた表情が少し柔らかくなっていた
赤井秀一という人は、人に安心感与えるほどの存在なのだと、私は思った