True love stories never have endings
(本物の愛の物語には、結末なんてない。)


降谷と安室とめんどくさい恋をする

本当のあなたに会いたかった



「また会いましたね」


私の行く先々に現れる安室透に私は思いっきり嫌な顔をすると「そんな顔をされると悲しいですね」と苦笑をした


「私の知り合いによく似ているもので…
少し頭おかしい人だったんですけど、優しい人でした」


「その人とは恋人同士だったんですか?」

「私はそのつもりでしたけど、彼は私じゃなくて夢を選んだんです」


私も彼もあの選択を後悔してはいない
私は、彼に選択を迫った
彼は、選択した

それで、彼が私ではなく、自分の夢を選んだ
ただ、それだけのことだった


「その彼が突然現れて、やり直したいと言われたらどうしますか?」

この人は私を試しているんだとよくわかった
優しく微笑んでいるが、目は真面目そのものだった

「もう恋愛はこりごりです」

嘘偽りのない本音だった
私は逃げるように立ち去ろうとすると腕をつかまれた


「なまえ、話がある」


「何を今更……」


「頼む聞いてくれ」


私は降谷に頼まれると断れない
それを知っていて、この男は私に言ったのだ


「……分かった」


「場所を変えよう
乗ってくれ」


私を車に乗せるとどこかに向かって走り出した


「…降谷って呼んでいいの」


「お前はいつも下の名前は呼んでくれないんだな」


「私たちがこういう関係になった時に気まずくならないようにって」


嘘だ
本当は恥ずかしかっただけだ
私は本当に降谷と一生を共にするつもりだった
だから、いつかは絶対呼ぼうって思っていた
でも、そのいつかが来る前に私たちの関係は終わってしまった



「お前は相変わらず可愛げがないな」


「そんな私をあなたは好きになったんじゃないの?」


「そうだな」


「偽名を名乗っているのは仕事?」


「ああ、詳しくは話せないが、今潜入捜査をしている」


「警察になれたんだね、おめでとう」


降谷は頭がよかったから、警察学校に行くと聞いた時もきっと受かるなと思った
警察になった降谷を想像しただけで胸が躍った


「降谷、私のことなんて忘れて
私も忘れるから」


降谷からの返事はなかった