True love stories never have endings
(本物の愛の物語には、結末なんてない。)
降谷と安室とめんどくさい恋をする
心臓の音は恋の合図
「みょうじさん、好きです」
「えっと、ごめんなさい」
何度目かになる降谷くんの告白を私は日課のように断っていた
頻繁に愛の言葉を囁かれている
最初は照れていたものの、だんだん慣れてしまい、ちゃんと反応できるようになった
本音をいうとこんなにきれいな顔の男子に告白されるのは嬉しい
別に降谷くんのことが嫌いなわけでもない、こいつ実は何日で落とせるかとか賭けてるのではないか?なんて思ってもいない
キラキラ輝いている彼は私には勿体ないと思うし、真剣な彼に私は中途半端な返事をしたくなかった
「みょうじさんは俺のこと嫌いなんですか」
「嫌いじゃないけど……」
じゃあ付き合ってくださいと駄々をこね始める降谷くんに思わずため息をついた
私のどこかいいのだろう
「みょうじさん、俺のことどう思います?」
「ちょっと危ない人。家まで来たときはビビった」
降谷くんは私の返答よりも返してくれるという事実が嬉しいらしく、いつもにこにこ笑っている
私はそれを見ると胸が苦しくなるし、申し訳なくなる
「みょうじさん、下の名前で呼んでもいいですか?」
「別にいいけど……
ついでにその敬語もはずして、同じ年なのに敬語って少し不思議な感じするでしょ」
「分かった」
「私、降谷って呼ぶ」
「なまえ」
降谷くんに名前を呼ばれただけで、自分の名前が輝いたようだった
どくんどくんと心臓が音をたてた
「降谷」
私はその名前を呼ぶと心臓の音は早まった
「……どうしたんだ?顔が真っ赤だ」
降谷の綺麗な目が私を見つめていた
私の口は自然に、あるたった2文字を吐き出した
「好き」
震えもせず、はっきりとした声だった
私はしばらくその声が自分のものだとは気づかなかった
ことに重大さに気づいた私はすぐに降谷から距離を取ろうとした
でも、それは叶わなかった
私の口は、気が付いたら降谷に塞がれてしまっていたのである