True love stories never have endings
(本物の愛の物語には、結末なんてない。)


降谷と安室とめんどくさい恋をする

すれ違った



※降谷視点


完全な誤算だった
まさかなまえに会うなんて

運が悪いことに車の中にいて、助手席にはベルモットを乗せていた

なまえはただ、俺を見つめると微笑んだ
その笑みはすべてを諦めたような、悲しい顔をしていた

俺の胸がズキンと痛んだ
なまえは人ごみに消えてしまった

そんな俺を見て、ベルモットは楽しそうに笑っていた


「ずいぶん、聞き分けの良い子猫ちゃんね?
 バーボンはああいうのが好みなの?」


「……今日全てが終わったらちゃんと埋め合わせしますから、問題ないですよ」


そうだ、この仕事が終われば、また降谷として会える
赤井を組織に差し出さなければ……
しかし赤井はなまえと親交の深い沖矢昴という人間に化けている

沖矢昴とはずいぶん、仲がいいらしいからなまえは悲しむだろう
それでもあいつは仲間の敵だ
それだけは譲れない


「……あの子、早めに手を打った方が良いと思うわよ
 あなたも見たでしょ、あの全てを諦めたような菩薩顔
 組織の仕事を最近入れすぎじゃない?
 少しは時間を作ってあげた方が良いわ」


「ずいぶん、首を突っ込んできますね」


ベルモットはふぅと息を吐いた


「あなた鈍いのね
 彼女に同情するわ」


ベルモットは俺を呆れ顔で見ていた
俺は駐車場に車を停めた


「また後で」


そういって、ベルモットは車を降りた
これからが作戦の始まりだ


“……あの子、早めに手を打った方が良いと思うわよ”


さっきのベルモットの言葉が頭を過った
突然不安に襲われ、なまえに電話を掛けた

何度かけても、電話は繋がらず、「現在電源が切られているか、電波の届かない場所に……」
と無機質な声が聞こえてくるだけだった