True love stories never have endings
(本物の愛の物語には、結末なんてない。)
降谷と安室とめんどくさい恋をする
あなたじゃない彼と約束をする
「あ、なまえさん久々ですね」
「蘭さん、お久しぶり」
「安室さんに会いに来たんですか」
「へへ、実はそうなの」
「とうとう付き合い始めたんですか!?」
「実は、まだ……」
私は返事に引き延ばしを重ねている
返事をしようにも安室透として会えるが、降谷零としては会えないのが今の現状だ
「あ、なまえきてくれたんですね」
「安室さん、こんにちは」
久々の安室透に私はちょっとたどたどしくなってしまった
蘭さんはそれを見て、照れていると勘違いをしたらしく、にこにこと笑ってこっちを見ていた
違うの
降谷零を知っている私としては安室透は違和感あるの…!
ちょうど蘭さんは帰るところだったらしく、また今度ご飯食べに行きましょうと言って、蘭さんは帰ってしまった
店のお客さんは私だけだった
安室透がハムサンドを私のテーブルに置くと、私の向かえに座った
「安室さん…どうしたんですか」
「なまえと話がしたかった、それだけじゃだめかい?」
あ、今ちょっと零が出た
私は嬉しくなって笑った
「…なまえ、ここなら会うことができる
シフトの時間を教えるから、時間がある時に来てほしい」
「“安室さん”の頼みですから、喜んで」
零は少しムッとして顔をしかめた
“降谷零”ではなく“安室透”に会いに来るのが気に食わないらしい
自分で降谷零としてはしばらく会えないと言っていたのに、ずいぶん勝手だなとキレたくなったけど、表情だけで抑えている零を見たらなんともいえない気持ちになったので何も言わないことにした
昔の零だったら、ねちねちと妬いたり、言ってきたりしたもんだけど、やっぱり零もちゃんと大人になったんだなあと思わずにはいられなかった
「明日も来ますからシフト教えてくださいね、“安室さん”」
零は複雑な気持ちを持ちながらも、嬉しい気持ちは隠し切れないようで、頬が緩んでいた
「はい、お待ちしております」