True love stories never have endings
(本物の愛の物語には、結末なんてない。)


降谷と安室とめんどくさい恋をする

亀裂



「…零」


最近彼からは連絡はない
ポアロにいくものの安室透の姿はなかった
梓さんに聞くと、数日前から休んでいるらしい
電話でも休むとしか告げず、理由は一切言わなかったらしい

多分、警察のお仕事で忙しいのだろう
私は、彼にまだ返事をしていないから、彼女面をして「何で連絡くれないのよ!」なんて言えない


「……嫌になる」


零を信じて一生ついていくって決めたのに、もう不安でたまらない
そんなに私は彼を信じられないのだろうか


「あ、なまえさんじゃないですか」


振り返ると沖矢さんが立っていた
数日前にコナンくん経由で知り合った数少ない知り合いの1人である


「あ、沖矢さん、こんばんは」


「どうしたんです?こんなところで……」


辺りを見渡すと人通りの少ない通りだった
私は考えて事をしていて、うっかりここまで来てしまったらしい


「まだ家に帰りたくないといったお顔をされていますね、もしよければ寄って行きませんか?」


私は、言葉に甘えて、お邪魔することにした







沖矢さんは凄く話しやすい
時間を忘れるくらい話し込んでしまって、時計を見ると21時を回っていた

帰ることを沖矢さんに告げると、送ってくれると言ってくれた


「いえ、迎えが来てるみたいなので…」


私は携帯の着信履歴を見て、ゾッとした
安室透という名が何列も並んでいたからだ

私は何かあった時のために電話帳登録の名前を安室にするようにと零から言われていたのだ

話を戻すけど、何で零が私の居場所を突き止めたかは、いつもと同じやり口だろう
発信器が私の所持品につけられているに違いない


沖矢さんに見送られて、外に出ると凄い顔をした零が仁王立ちをして待ち構えていた


「こんな時間に男の家にいるなんてどういうつもりだ?
あの男は浮気相手か?」


「ただのお茶仲間さんだよ
それにしばらく、連絡もしてこないし、しても出なかった人がいきなり何?
私、零にそんなこと言われる筋合いない!」


ズバッと言ってやると、零は突然とおらしくなり、「ごめん」と謝った


違う、私が欲しいのはそんな言葉じゃない
数年で出来てしまった亀裂はそんな簡単に治るものではないのかもしれない

想いは通じ合っても、私の知らない零、零が知らない私がある
私の中では、高校生の降谷で止まっているのだ


私は、本当の零を知っているつもりだった
それはただ、周りが知らない零を知っていただけで、私の知らない零は存在する


私は、零のことを何もわかっていなかった