■ if ―T―

私は瓦礫の中で目を覚めた
足や、体のあちこちが痛い


どうやら、瓦礫とと共に観覧車から落ちてしまったらしい
こんな怪我ですむなんて、私も新一並の運の強さかもしれない


「赤井さん、安室さん、新一…!」

ぐらりと観覧車が揺れた
車軸がとうとうはずれたらしく、二輪の観覧車が真っ二つになっていた
私は服の内ポケットに入れていた犯人追跡メガネを取り出した

私は新一たちが戦っている光景を見えた
見ているだけは嫌だ、傍観者ではいたくない

私は走り出した
不思議と足は軽く、痛みはあるものの、動く


観覧車には追いつけない
それは分かっていても、走らずにはいられなかった


水族館付近についた時、私の横を黄色クレーン車が通り過ぎた
たまたま見えた運転席にはキュラソーが乗っていて、観覧車にそのまま激突した


私は、走った
クレーン車のドアを開けると、キュラソーがこちらを驚いたように見ていた


「どうして、あなたここに……」


「そんなことどうでもいい!早く逃げて、観覧車の重圧でぺったんこになるよ!」


「……私は生き残ってもジンに追われるわ」


「策はあるの、私を信じて」



キュラソーがゆっくりと頷く
キュラソーが降りた後に、私はクレーン車にポケットから取り出した人型をしたものを投げ入れた


「キュラソー、逃げるよ!車軸にはまだ爆弾がある
いつ爆発してもおかしくない!」


私たちが離れると爆発が始まった
それでも爆風がきて、私とキュラソーは飛ばされた











「大丈夫?」


「えぇ……」


「私の策なんだけど、証人保護プログラムを受けてほしい」


「……どうして、私にそんなに…」


「生きてほしいの
きっと歩美ちゃんたちもそれを願ってる
もしかしたら、一生会えないかもしれない
連絡も2度と取れないかもしれない

でも、もしかしたら、いつか会えるかもしれない
私はその可能性に賭けたい」


キュラソーは「分かったわ」と言って、笑った


「……私が赤井さんに話すから、任せて
あと、“Your color is beautiful
I have you envy”」

「意味……分かったの?」

「お母さんが英語教育だけは力入れていたから……
ありがとう、生まれて初めて人にそんなことを言われて、私は凄くうれしかったの
お礼を言いたくて、やっと言えた」

「……本当のことよ
組織の中でシンデレラと呼ばれるあなたの色は美しい、眩しいくらいにね」

「私の色はもう、違う色になってしまったから」

「え?」


「染められたの、あの人にね」と笑うと、キュラソーは理解したらしく、「それでも美しさは変わらないのよ」と言った


私はとっくの昔に、赤井さんの色に染められている
私の灰色のキャンパスに赤井さんが色を付けてくれた
それで新一と蘭ちゃんと志保ちゃんたちにも会えて、私の世界はどんどん色づいていく


「キュラソー、Your color is beautiful」


「thank you」








キュラソーは次の日、ジョディさんたちによってアメリカに送られた
最後に見た彼女は、幸せそうに微笑んでいた


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