■ 悪夢から覚める

瓦礫からなんとか脱出すると安室さんは観覧車をよじ登っていた


「私も行きます!」

「駄目だ!ここは俺に任せて、君は避難しろ!」


ぐらりと観覧車が揺れた
車軸がとうとうはずれたらしく安室さんが新一の元へと急いでいた
二輪の観覧車が真っ二つになっていた
私は服の内ポケットに入れていた犯人追跡メガネを取り出した

私は新一たちが戦っている光景を見ていた
また、私は傍観者だった


「新一……」


ベルトで観覧車を固定するも、観覧車は止まらない
サッカーボールをふくらませて、止めようとしてもまだ少し力が足りない

その時、一台のクレーン車が観覧車の衝突した


「まさか……!」


クレーン車は観覧車に押しつぶされた
そして車軸に残っていた爆弾が爆発した


「うそ……!」


“Your color is beautiful
I have you envy”

“あなたの色は美しい
私はあなたが羨ましい”


キュラソーは私にこう言った
私はキュラソーに対して、何の返事もできなかった


「私、まだあなたに言ってないことがあるのに…!」


私の目からは涙がこぼれ落ちた
拭う気力も私には残されていなかった
力が抜けて落ちそうだったが、私は必死に観覧車についていたはしごにしがみついていた


「なまえさん!大丈夫か!」


私は泣き声を押し殺した
安室さんにはこんな顔を見せられないと思い、下を向いた


「安室さん、動ける力が残ってなくて……手を貸してもらっていいですか」


涙混じりの声でそういうと安室さんは私のところまでゆっくりと降りてきてくれた


「つかめるかい?」


安室さんが私に手を差し出したので、私は何とか安室さんの手を握った
安室さんは私の手を引くと、そのまま引き寄せた


「すみません……」

「君は、人に心配をかける天才だね」


安室さんは優しく微笑んだ
私も笑い返して、そのまま気を失った

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