■ 悪夢の中で出会う

赤井さんは大丈夫
私は私のやるべきことをやらなきゃいけない


「大丈夫…」

「なまえ!」

「哀ちゃん!ちょ、何でそんなところに立ってるの!?危ない…!」


哀ちゃんは手すり部分に乗っていた
落ちたら、ただではすまない


「あ、あっ…!」


哀ちゃんがバランスを崩して落ちそうになる
私が手を伸ばすよりも早く、誰かが哀ちゃんの手をつかんだ

ふわりと銀髪が揺らめいた


「あなた私を捕まえに来たの…」

「あなた、もしかして組織を裏切って逃げたシェリー?」

「やっぱり記憶が……どうして私を助けたの」

「分からない、どうして助けたのかなんて分からない
 ただ、前の自分よりも今の自分の方が気分がいい」


キュラソーは哀ちゃんを安全な場所に下ろすと
「ジンが来ている、あなたならこの意味が分かるでしょう」と言った
哀ちゃんが顔色が変えた

キュラソーは私の方を向くと、微笑んだ

「あなた、シンデレラね
あなたのこと思い出したの」

「それは組織が私を呼ぶ時のコードネームでしょう
私にはシンデレラじゃない、なまえって名前があるの」

「そうね」


私とキュラソーの中にしばらく沈黙が続いた
キュラソーは口をゆっくりと開いてこういった


「Your color is beautiful
I have you envy」


「え?」

「逃げるわよ、シェリーちゃん、なまえちゃん」

「待って!子どもたちが観覧車に乗っているの!」


キュラソーはそれを聞いて、顔色を変えた
彼女を変えたのは子どもたちで、彼女にとって大切なものになっているのだ

その時、銃撃が観覧車に向かってたくさん降り注いだ
無差別な攻撃、安室さんが爆弾処理に成功したのかもしれない
私と哀ちゃんとキュラソーはただ逃げ続ける
これは、センサーとかで動いてるものを無差別に攻撃してるのかな

キュラソーは穿いていたスカートを少し裂くと「子どもたちを頼んだわよ」と言って走り出した


「……駄目よ!殺されるわ!」


キュラソーの姿が見えなくなって、しばらくすると銃撃の攻撃が一部に集中し始めた
私は囮になってくれていると気づいた
キュラソーは自分の命を犠牲にして、子どもたちを救おうとしている


「哀ちゃん、私は新一のところにいく
子どもたちのこと頼んでいい?
私、キュラソーを助けたいの」

「……駄目!あなたまで死んだら…私は……」

「大丈夫だよ
私、蘭ちゃんにも約束してるの生きて帰るって
哀ちゃん、いや、志保ちゃん
私を信じて」

「あなたは昔から、一度やると決めたことは曲げないわね
これ、持って行って」


哀ちゃんはポケットから 犯人追跡メガネを取り出して、私に差し出した
私が受け取ると、志保ちゃんは私に背を向けて子どもたちが乗る観覧車の方に駆けだした


「……ありがとう、志保ちゃん」




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