お風呂からあがって、なんとなくベランダに出た
風を感じたい気分だった
妙にポエミィな感じがして、少し恥ずかしかった

私は風邪を感じながら、今日のことを思い出していた


「……謝らなきゃなあ」


黒羽くんにも中森さんにも失礼な事をしてしまった
ふぅとため息をつく


「またお会いしましたね、お嬢さん」


「……怪盗キッド?」


「はい、少しは羽休めに来ました」


「そう」


短く返すと、怪盗キッドは私の顎をゆっくり持ち上げた
俗にいう顎クイである


「……私の瞳は宇宙のような輝きはないよ」

「ありますよ、私には見えていますから」

食い入るように私の瞳を見る
眼球フェチか何かなのだろうか


「嘘ではありません、本当のことです」


「……変な人
どうして私に構いに来るの」


「あなたのファンだからですよ」


「は……?」


「あなたの瞳に一目ぼれしたんです」


怪盗キッドは私の頬を優しく撫でた
私はそれがくすぐったくて逃げようとしたら、腕を捕まれて逃げられなかった


「は、はなして…せ、セクハラ!」

「あなたが信じていないようでしたので……」

「変態」

「また明日来ます」


怪盗キッドは私の手をとって、手の甲にキスをした
そして私を見た
怪盗キッドの瞳は星々のように輝いていた

宇宙のような輝きとはこういうことを言うのだろうか
私の瞳よりも何倍も綺麗だった


「ではまた星の輝く夜にお会いしましょう」


怪盗キッドの瞳の輝きがいつまでも私の頭から離れなかった