お風呂からあがるとベランダの窓が開いていて、入ってくる風がカーテンを揺らしていた

「…怪盗キッド」

「こんばんは、お嬢さん
あなたをいただきにまいりました」


「…私のこと奪いに来たの?」


「ええ、私はあなたを愛しているのですから
自分のものにしたいと思うのは当たり前のことでしょう」


「…私も同じ気持ちだよ」


そういうと、キッドは嬉しそうに目を細めた
そして、距離を一気に縮めた


「本当ですか?」


「うん」

怪盗キッドは私の手をとると跪いた

「実は私、大きな秘密を持っているのです」


怪盗キッドはシルクハットとモノクルをはずした
そこに現れたのは良く知る彼だった


「く、黒羽くん
なんで…」


「俺は怪盗キッドなんだ
騙すつもりはなかった
俺もなまえだってずっと気づかなかったんだ
眼鏡で隠れていた目を海に行った時に見て、やっと気づいた」



怪盗キッドが黒羽くんということは青子ちゃんはどうなるの
黒羽君のこと大好きで、可愛くて、私本気で幸せになってほしいと思う



「怪盗キッドとしてでも、黒羽快斗としてでも、付き合ってほしい」


「だ、だめだよ…わたし…」


「青子のこと気にしてるのか?」


「え?」


「青子とは話がついてる」




――――キャンプ最終日



「快斗はなまえちゃんが好きなの?」


「なんだよ、いきなり……」


「いいから…!」


「…そうだよ」


「……青子ね、快斗がなまえちゃんのこと好きだって分かってたんだ
快斗もなまえちゃんも大好きだから、もう邪魔したくないの
ごめんね、なまえちゃん私のせいで遠慮してる
だから、快斗から話してくれる?」




――――――――――


「……青子ちゃんが?」


「俺はお前が好きだ
怪盗キッドとしてじゃなく、黒羽快斗として、ずっと言いたかった」


黒羽くんは私の頬を撫でた
私はくすぐったくて身をよじる
後退ろうとすると黒羽くんが私の腰をつかんで引き寄せた


「返事をくれよ」


そんなの決まっている


私はか細い声で返事をした
黒羽くんは嬉しそうに私の唇にキスを落とした