「…悪い」


俺は最低だ
好きな人がいると言っている女子にいきなりキスをしてしまった
何でしたのかはわからない、体が勝手に動いていた

その場から逃げ出したくて、固まったまま動かないみょうじさんを放置して逃げた



「あら、あなた逃げてきたの?
そのまま告白をしてしまえばよかったのに」


「うるせーな
お前には関係ないだろ」


「あるわよ、私となまえは友達ですもの」


「何か見えてんのか」


「心配しなくても、明日になれば全て解決するわ」


「どういう意味だよ…」


紅子がにやりと笑いながら、俺を見た
何かコイツ、企んでいるな

全てが解決するなんてそんな都合のいい話があるのか?
俺は2人の女子を同時に好きになってしまったんだぞ?


「まずは、その勘違いをなんとかしてあげるわ」


そういうと紅子はいなくなった








今日はキャンプ最終日
自由行動だが、大抵の奴らは海に行くらしい
俺は青子から連絡が来て、誘われたので海に行くことになった
青子が来るということは必然的にみょうじさんも来るってことだ

うんざりしながら、俺は支度を整えて、海に向かった





俺は目を見開いた
目の前に現れた彼女は宇宙のように輝く瞳を持つ、ベランダの彼女だった
彼女は俺を見ると、頬を染めた


「快斗!今日のなまえちゃん、眼鏡なしなんだよ〜!可愛いでしょ!」


彼女の背後から、紅子が楽しそうに笑っていた

コイツは全て知っていたのだ
ここでやっと、俺は昨日の紅子の言葉の意味を知った


大きな勘違いをしていた
俺は2人の女の子を同時に好きになったのではなく、1人の女子を好きになっていた

みょうじさんとベランダの彼女は、同一人物だったのだ