「ど、どうしてわかったの」

「私には何でも分かるのよ」

紅子ちゃんは自信たっぷりに言う
私は妙に納得してしまって、素直に信じた

普通なら奇妙に感じることなのに私は信じてしまった


「彼はやめときなさいと言いたいところだけど……止めないわ
あなたは幸せになれる、私を信じなさい」


私はゆっくり頷いた










疲れてしまったので、ダンスの輪から抜け出す
紅子ちゃんの周りに男子が一斉に群がった
モテるって大変だな

端っこで座っていたら、誰かに肩を叩かれた


「みょうじさん、1人?」


「うん、疲れちゃって、休憩してる」


「隣いい?」


「……うん」


黒羽くんが私の隣に座った
距離は結構近い


「青子ちゃんは?」

「んー俺も疲れたから抜けて、おいてきた」

「…そうなんだ」



これは私一緒に居て大丈夫なのだろうか
青子ちゃんに怒られるんじゃないだろうか


「みょうじさんって好きな奴いんの?」


突然のことに私は固まった
黒羽くんの目は真剣だった


「いるよ、好きな人」


黒羽くんの顔はどこか悲しそうだった
私は黒羽くんが何故こんな表情をしたのか分からなかった
私の見ている黒羽くんはいつも悲しそうだ


「どんな奴?」


「…綺麗な瞳をしているの」


「瞳?」



普通の人から見れば気持ち悪いかもしれない
でも、私は一度話し出したら止まらなかった


「宇宙のように輝いているの
いつも頭から離れない
それでやっと気づいたの、好きだって」


「…そっか」


「黒羽くんはいないの?好きな人」


誰かは分かっているけれど、私だけ聞かれるのはずるいなと思って、聞いた


「……いるよ」


黒羽くんの言葉に私は息をのんだ

次の瞬間、私の口は黒羽くんによって塞がれていた