真実
「思い出したのか」


眼鏡青年は首元のチョーカーのボタンを押した
すると、眼鏡の青年から出た声はライのものだった


「…少しだけ」


「そうか」


「ここに来たら、思い出せると思ったのに」


「あいつのことは覚えているか」


あいつ…?と聞こうとした時、またあの頭痛がした
私はその場にうずくまった
そのまま、私は意識を失った
赤井秀一が私を呼ぶ声がした



“なまえ、よく来てくれたな”

“私に殺させるつもりなの?”

“ああ、お前に殺されるなら本望だからな”

“バカ、物好きね”

“……頼みたいことがある
 俺と一緒に潜入している仲間のことだ
 コードネームはバーボン”

“仲間って…公安?”

“そうだ、まああいつ、他国の力なんて借りないって言うかもな”


他国?何の話?
私が、他国の人?


“バーボンのことを私に任せてどうする気?”

“あいつのこと守ってやってくれよ
 デリケートでめんどくさい奴だけど、良い奴なんだ”

“分かったわ、そのことを含めて、あなたの願いをちゃんと叶える”


私は見知らぬ男に銃を向けていた
引き金を引こうとした時、ドアが開く音がした


“ライ、どうしてきたの”


“こいつを死なせないためだ
 俺も潜入している鼠の1人なんでな”


“鼠……ジンみたいな言い方ね”


“バレンシア、お前も潜入している鼠の1人なんだろう?”


“いつ気づいたの”


“最初から……もしかしたらとは思っていた”


“……当たり、私もノックよ”


“やはりそうか”



その時、ガタガタと誰かが階段を上ってくる音がして、その瞬間銃声が響いた
私は銃声のした方を見ると、彼が、スコッチが血を流していた

“バレンシアは逃げろ
 奴には俺が殺したと思わせる”


“ライ、分かったわ……でも、それはずっとバーボンに恨まれることになると思うわよ”

“止められなかった、それは殺したようなものだ”


私はそのまま、非常用の階段から逃げた
心の中は、血まみれだった


彼を殺してあげられなかった謝罪と止めることのできなかった悲しさがナイフのように私の心を引き裂いた


「……スコッチ、殺してあげられなくてごめんなさい」

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