一万打企画 | ナノ




\そんな貴方なんて知らない/
数日前、沖矢さんから「泊まりに来ませんか?」と誘われ、私は笑顔で頷いた
沖矢さんとは数か月前に出会った
街でチャラいお兄さんたちに捕まっていたところを助けてもらった
私はそれで一目ぼれをしてしまった

そこから、私もなんとか頑張り、告白しようとしたら、逆に告白され、晴れて恋人になったのです

「持ちます」

「あ、大丈夫ですから…!」


沖矢さんは紳士だ
今だって、迎えに来てくれて、荷物も持ってくれた
沖矢さんの無言の圧力に負けた


「……!」


さりげなく、手を握ってくれたり、突然キスしてきたり……あぁ思い出しただけで顔が赤くなる


「着きましたよ」


「あ、お邪魔します」


「はい、どうぞ」


あぁ、私本当に沖矢さんが好きだ
好きすぎて辛い
のろけすぎ?だって、沖矢さんは本当に素敵なんだもの


「今日のなまえさんは一段と可愛らしいですね」


私の真っ赤になっている頬を撫でながら、沖矢さんは言う
それで私の顔はますます赤くなるということを知ってて、そんなことを言う沖矢さんはすごく意地悪だ


「お、沖矢さんとのお泊まりが楽しみすぎて、眠れなくて……
 目の下にクマがあるのであんまりじっと見ないでくださ…!」


言い終わる前に沖矢さんの顔が近づいてくる
私は反射的に目を瞑る
沖矢さんの唇が降りた先は、私の唇ではなく、私の目元だった


「……あまり、可愛いことをいうな、我慢できなくなる」


「え?」



いつもと違う沖矢さんに私は驚いて、目を開いた
姿は変わらないのにいつも閉じられてる目が開いていた
その目の奥には、メラメラと激しい感情が炎のように燃えているようだった


私はゾクッとした感覚に襲われた
怖い?
違う……興奮している?


こんな沖矢さんを私は知らない
固まる私を乱暴にソファーに押し倒す沖矢さんを知らない
こんな感情を私は知らない


「なまえ、いいか?」


分かったのは、沖矢さんが私を激しく求めてくれていること
私は沖矢さんに激しく求められていることに歓喜していた

好きな人に求められることがこんなにも嬉しいものだと知った

私が頷くと、沖矢さんは私の唇にキスをした
唇の感触を味わうようなキスは、どんどん激しくなり、貪るようなものに変わっていった


「明日までは邪魔が入らないからな」


沖矢さんはにやりと笑った
うっとりするほどに素敵だった

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