一万打企画 | ナノ




\未来の約束/
ふわりと白い何かが飛んでくる
それは私の前に降り立った


「快斗……また盗んできたの」


「俺には、見つけなきゃいけないことがあるからな」


「何それ……ねぇ、今日何の日か分かってる?」


私の目が潤んだ
瞬きをしたら、きっと目から零れ落ちてしまう

快斗は表情を崩さなかった
こんな時でもポーカーフェイス


「私の、誕生日だよ……?
 この日だけは盗みに行かないで私の傍にいてって言ったのに…」


「……なまえ」


私の視線はどんどんしたに下がった
もう顔は上げられない
きっと、私ひどい顔してる

涙でボロボロで目元は赤く腫れてる

それでこんな我儘言って……嫌われる
分かってる、分かってるんだよ、快斗が私には言えない重要なことをしているって分かってるのに

私、最低



「……なまえ」


快斗が私の前に立った
私には快斗の綺麗な白い靴しか見えない

その時、顎を持ち上げられて、無理やり快斗の方を向かされた
私の目からは涙がまたこぼれた

「……盗みに行ったんじゃなくて、盗みに来た」


「は…?」


私が目を見開くと、快斗がニッと笑った


「お前の未来を俺にくれよ
 そうしたら、俺はお前だけのものになれるし、お前も俺のだけのものになれる」


もの扱いしないで、なんていつもの私なら言ったかもしれない
でも、今はその言葉が嬉しくて、何も言えなかった


「……なまえ」


快斗は私の髪を梳くって、口づけた
いつもの快斗なら絶対こんなことしない
怪盗キッドとしての俺を受け止めてくれってことなのだろうか?

そんなこと、ずっと前からしてるつもりだったのに
わがまま言って、快斗の邪魔してた


「……ごめんね」


そういうと、快斗は顔を真っ青にしたので、私は慌てて訂正した


「ち、違くて、私快斗の邪魔しちゃって、ごめんって……思って」


「邪魔じゃない、俺はお前がいるから頑張れるんだ
 帰ってくる場所があるから…」


「……バカ」


「それはお互い様
 で、返事は?」


「そんなの、決まってる」


私は怪盗キッドのネクタイをつかんで引っ張って、そのまま触れるだけのキスをした
快斗は驚いて固まっていたが、私の腕をつかむと一度離れた唇をさっきよりも深く重ねた



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