おばあさんの言葉に固まっていると、ぞろぞろと人がやってきた
「おじさん、どうしたの!」
コナンが駆け寄っていく
治郎吉さんたちだ
何やら話をしてから、コナンくんは哀ちゃんに駆け寄ってきた
「灰原、オレはおっちゃんたちとここに残る
お前はみんなと一緒に帰ってくれ
それと…」
「分かってる、このことは子どもたちに内緒ね」
「ああ、頼む
あと、なまえはついてきてくれ」
「うん…?」
何で私…と思ったけど、頷いておいた
コナンくんは急いで、治郎吉さんたちの元に駆けていく
「2人とも信頼されているのね」
「私たちはおばあさんが考えているような仲じゃ…」
「いいえ、あなたは70年前の私と同じ目をしている
それはまるで向日葵の花言葉『私はあなただけを見つめる』
でもね、見つめているだけじゃきっといつか後悔する
私のようにね……人は失って初めて大切なものに気づく……
あの向日葵のように」
私はコナンくんたちがどんどん離れていくのに気付き、おばあさんに会釈すると、コナンくんたちの元に急いだ
コナンくんの元に駆けよると「おせーぞ」と怒られた
振り返ると哀ちゃんが口パクで「頼んだわ」と言った気がした
“見つめているだけじゃきっといつか後悔する”
キッドがいなくなることがないなんて、言いきれない
だって、キッドは怪盗
こんなことを言えば信じていないと思われるかもしれないけど、捕まることもあるかもしれない
唐突に怖くなった
快斗がいなくなったら…
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「『今夜、ラ・ベルスーズの左、最初の模写を頂きに参ります 怪盗キッド』」
館長がキッドの予告状を読み上げた
「この予告状がどうして当美術館の向日葵が狙われることになるのでしょうか?
ラ・ベルスーズとは日本語で『ゆりかごを揺らす女』です
向日葵のことではありませんよ」
館長とその部下が眉を顰めると中森警部が「重要なのはその後に書いてある『左、最初の模写』」と言った
それに続けて毛利探偵が「左とはおそらく『三幅対』のことなんです」と言う
チャーリーさんが治郎吉さんに東さんに説明してもらっては?と提案した
治郎吉さんが「そうだな、東、よいな?」と言うと東さんは頷き、説明を始めた
「はい、先程毛利探偵がおっしゃっていた『三幅対』が正しいと仮定します
そして、ラ・ベルスーズを真ん中に置いてみてください
この時、左右に置くべき絵は…」
「向日葵だ…!」
東さんの説明に納得し、館長はなるほどと頷いた
「これは確かに当美術館の向日葵が狙われているようですね…」
向日葵を安全な場所に避難させるために今日は閉館を早めることになった
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