「なまえちゃんはこれからどうするの?」


「私は家に帰るよ」


「そっか…またキッド様の情報が入ったら連絡するね!」


「うん!」


蘭ちゃんたちと別れ、私は帰り道とは逆方向の道へ歩き出す
どうしても、私は帰る前に寄りたい場所があった


「……損保ジャパン日本興亜美術館」


エレベーターで42階まで上がっていく
景色は綺麗だった
キッドは空を飛びながら、いつもこれを見ているのだろうか

42階につき、エレベーターホールの先にある美術館受付に向かう

受付が終わって、歩き出すと見覚えのある子どもたちがいた


「コナンくん…?」


「なまえお姉ちゃん…!」


「もしかして……」


いや、コナンくんは知らないはずだ
余計な事を言ったら、快斗にとって、不利な状況になる


「もしかしてって…?」


「ううん、なんでもないよ
 コナンくんたちも向日葵見に来たの?」


「まあな」


他の子どもたちが聞いていないかをかくにんしてから、コナンくんは新一くんとして返事した気がした
コナンくんでいるの大変なのかな


「オメーら、向日葵を見に来たんじゃねーのかよ」


コナンくんがあきれ顔で子どもたちにそういうと、子どもたちは本来の目的を思い出したようで、向日葵に向かって走って行った


「私も一緒に見ていいかな」


「あぁ…
 それにしても、あいつら本当に向日葵に興味あんのか?」


「あら、見たがってたのはあの子たちだけじゃないわよ
 ね、博士」


博士も見たくてたまらないといった感じにすごくウキウキしていた


「ミーハーかよ」


子どもたちが向日葵を見てはしゃいでいる
近くにはおばあさんが座っていてもコナンくんが静かにするように子どもたちに注意した


「すみません、騒がしくて」


「いいえ」


向日葵の近くに座っていたおばあさんは優しく微笑んだ
また騒ぎだした子どもたちに哀ちゃんとコナンくんが顔をしかめた

しばらくすると、博士を連れて、売店の方に行ってしまった
騒がしかった空気が一瞬で静かになった

コナンくんが真剣な顔で向日葵を見つめていた


「お嬢さんは向日葵よりも別のことに興味があるようね」


哀ちゃんの驚きの声があがるのと同時におばあさんは振り返って、「そちらのお嬢さんもね」と私にも言った


「ごめんなさいね、突然
 昔の自分を見ているようでほっとけなくて…」


「おばあさんはよくここに来るの?」


「ええ、毎日ね」


「よっぽど、ごっぼの向日葵が好きなのね」と哀ちゃんが言うと、おばあさんは表情を曇らせた


「……でも、この向日葵じゃない」

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