「なまえ、見つかったらやべえから大人しくしててくれ」
「快斗……」
コナンくんがまだ見つかってないらしく、みんなが騒いでいた
「くそっ、何してやがる!」
快斗が小枝を踏んで、バキッという音が鳴った
チャーリーさんがこちらを振り返ったが、姿は見られないようだった
快斗と2人で物陰から見ていると、湖の底から何かが浮かび上がってきた
向日葵の絵と大きなサッカーボール
コナンくんだ
「全く、美味しいところを持っていきやがって…」
その時、背後からカチャリと音がした
振り返るとチャーリーさんが銃を構えて、こちらに向けていた
「何だよ、気づいてたのかよ」
「まだ分からないことがある
説明してもらおうか?
何故、初めから犯人を知っていた?
そして、泥棒であるはずのお前が向日葵を守った理由はなんだ?」
「音声メッセージで依頼があったんだよ、向日葵を盗んでほしいってな」
「だが、なぜ犯人の妨害をする必要があった?」
「芦屋の向日葵をどうしても見せたい人がいたんだよ
空襲で燃え盛る炎の中、ひそかに恋心を抱いていた大工に向日葵を託されて、彼が燃え死んでいくのを目のあたりにした女性がな…」
快斗の理由はこれだったんだ
私は俯く
「何故、そんな昔の事をお前が知っている」
「その場にいた男から聞いたんだよ
その男から頼まれたんだ
彼女に向日葵を見せたいってね」
もしかして、後藤さん…?
チャーリーさんは頷いて、「謎は解けた」と言い、銃を下した
「いいのか?捕まえなくて」
「今回だけは悲しき恋心を大切にし、お前に依頼してきた男に免じて見逃したことにしてくれ」
すると、チャーリーさんはが私の名前を呼んだ
顔をゆっくり上げると、チャーリーさんは何か言いたげに私を見ていた
「お前の瞳は綺麗だ」
私は目を見開く
チラッと横を見ると快斗は少しむすっとした顔をしていた
「不思議なほどに惹かれていた
もう一度聞く、お前にとってのキッドは何だ?」
「私にとってのキッドは大切な人です
私は、キッドがいないと生きていけない」
「それが聞けてよかった」
チャーリーさんは私たちに背を向けて、歩き出した
「……あんたのこと勘違いしてたぜ、チャーリー警部」
その瞬間、快斗は私を抱き上げた
私は反射的に目を瞑った
目を開くと、木の幹の上にいた
チャーリーさんは振り返って、小さく微笑んだ
そしてまた、私たちに背を向けて、歩き出した
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