「な、何のこと!?」
《あなたの目的が芦屋の向日葵と5枚目の向日葵を燃やすことだったからですよ
あなたは初めからこの2枚の向日葵を破壊することが目的だった》
「いい加減なことを言わないで!
何故、私がそんなことを!」
《分かりました
では、一つずつ確かめていきましょう》
新一くんの説明が始まった
動揺しているなつみさんに一同の視線が集まる
信じられないという思いが大半だろう
《オークション会場で怪盗キッドが暴れまわったことで警備体制が厳しくなり、あなたは向日葵に手を出せなくなってしまった
そこで、アメリカでの破壊を諦め、日本へ航空輸送される際に作業員を買収し、爆弾を仕掛けさせた
しかし、これもキッドに妨害され、あなたはターゲットを2枚目から5枚目に変えることになった》
新一くんの推理を聞いているなつみさんの表情がどんどん険しくなっていく
でも、これだけじゃ何故なつみさんなのかはわからない
《そのことにいち早く気付いたキッドは毛利探偵に予告状を送り、再び警戒を促した》
そういえば、なつみさんは空港の時に、自分の工房にと提案していた
「そんなの想像でしかない!」
「その通りだわ
誰よりもゴッホの向日葵を愛しているなつみがこんなことをするなんてありえない」
新一は憶測だけで推理をするわけではない
私に聞かせてくれる推理はいつも、納得するものばかりで、分かりやすかった
まだ何かあるんだ
「それに何故2枚だけを破壊する必要があるの?」
《2枚だけを破壊する理由はまだ分かっていません》
「とんだ推理ショーね」
《ま、理由は後でなつみさんから聞くとして、本題に入りましょう
なつみさん、レイクロックのチューブ通路に向日葵を飾りたいと言い出したのはあなただとお聞きしましたが、本当ですか?》
なつみさんはさっきより挙動不審になりながら、「え、えぇ…」と答えた
《あなたは鑑定士という立場を利用して映画の修復によく用いられるテレピン油を最上階から飾られた向日葵の溝に流し込み、導火線として使った》
他の人たちが驚きながらも納得した表情をしていた
なつみさんなら可能だ
これが新一くんの切り札
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