「東じゃと!?」


「ああ、自殺したのは絵の修復担当の東 幸二の兄だ」


《自殺じゃない
 幸一は俺が殺した》


2番目の向日葵のモニターに東さんが映っていた
東さんは芦屋の向日葵を見つけてしまったことで起きた悲しい事件の真相を語った

治郎吉さんが落札したのは燃えてなくなったはずの芦屋の向日葵だったのだ


《この展覧会が終わったら自首しようと思っていた
 ……だが、あんたたちが言っている怪しい人物は俺じゃない》


すると、東さんが「向日葵が燃えているぞ!」と突然叫んだ
驚いて、モニターを見ると炎のようなものが揺らめいていた


「誤魔化すんじゃねえ!」


《本当に燃えているんだよ!》


すると、他の向日葵のモニターからも声が聞こえて来た


《大変!火事よ!》


《早く消して!》


揺らめく炎はどんどん大きくなる
絵の具が溶けたら…!
快斗が守ろうとしていたものがなくなってしまう

防災システムもダウンし、消火は無理らしい


「致し方あるまい
 皆の者!屋上に向かうんじゃ!脱出するぞ!
 わしはエレベーターを呼んでおく」


「はい」


「ゆくぞ!
 皆ついてくるんじゃ!」


私は治郎吉さんたちを追ってエレベーターに飛び込む
炎がどんどん近づいてくる
コナンくんたちが最後に乗り込み、エレベーターが閉まった


「治郎吉おじさん、向日葵は大丈夫なの?」


「展示室に危険が迫れば、保護装置が自動で働く仕組みになっておる」


「心配ない
 プログラムは正常に動作していたよ」


コナンくんの表情がどんどん曇っていく
何かが起きているの?


エレベーターから降りるとみんなで外に出た
気が付くと、コナンくんだけでなく、蘭ちゃんもいなかった

もしかして、炎の中にもどったの?
私の足は自然と来た道を戻っていた
きっと快斗も中にいる

その時、手を掴まれて、振り返るとチャーリーさんがいた


「死ぬ気か!?」


必死に怒鳴るチャーリーさんに私は正気になった
私が行ったって、邪魔になるのに……


チャーリーさんは「行くぞ」と言って、私の腕をつかんで走り出した
たまたま後藤さんがリモコンのようなものを押しているのが見えた

快斗は大丈夫だ
チャーリーさんが私を険しい顔で見ていたことを私は知らない

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