目が覚めると、見知らぬベッドに寝ていた
近くの椅子にチャーリーさんが座っていた


「朝…?」


「起きたか」


「は、はい」


「部屋の前で倒れたんだ
 鈴木相談役が、ホテルの部屋をとってくれた

 俺のせいでもあるからな………」


俺のせい?
一旦落ち着け、昨日何があったっけ……


“キッド!!!”


昨日、キッドが撃たれて……!
私は下げていた顔を、バッと上げた


「キッドは………どうなりましたか」


「逃げた、銃弾は当たっていない」


「そうですか…」


ホッと胸をなでおろしているとチャーリーさんがベットの横に立った
鋭いその目は私の心の中なんて見透かしているようで、快斗のようだと思った

2人とも、少し似ているかもしれない


「お前にとってのキッドとは何だ?」


「……キッドはチャーリーさんが思っているような人じゃないですよ」


「着替えを友人が持ってきた
 着替え終わったら、今日はもう帰っていい

 明日、迎えに行く」


「明日は展覧会の日ですよね」


「ああ」


そう答えるとチャーリーさんは部屋を出て行ってしまった

服を見ると、シンプルで可愛らしいワンピースが入っていて、蘭ちゃんがこういうの着ていたなと思い出す
きっと、持ってきたのは蘭ちゃんと園子ちゃんかな
着替えが終わって、部屋の外に出ると誰もいなかった
まるで、世界に私一人だけのような

言えに急いで帰り、シャワーを浴び、洗濯機を回した
当たり前の日常がひどく懐かしく感じた

ピピーと選択が終了した合図が鳴り、私はベランダに蘭ちゃんに借りた服を干していると、玄関のところに見覚えのある人影が見えた

私は急いで、玄関に向かう
玄関から出て、その人影に思いっきり飛びついた

快斗だ
やっと会えた

快斗はふらついたものの、私を受け止めてくれた


「快斗、無事で良かった!」


「わりいな、心配かけて…」


「快斗は今日は何もないの?」


「ないからずっと一緒にいられる」


快斗は見たことがないような表情をしていた
まるで、知らない男の人のようだった


「快斗?」


「家に上がってもいいか」


「うん」


いつもと違う快斗に驚きつつ、家に招いた
何度か来ているし、お母さんとも会ってことがあるから、快斗がここに来るのは初めてじゃない


「ここに座ってて
 飲み物持ってくるから」


私が快斗に背を向けて、台所に向かおうとすると腕を引っ張られ、バランスを崩す
私はそのまま快斗の座っているソファーに倒れ込む


「!」


快斗の膝に着地した私はそのまま快斗に後ろから抱きしめられた


「……快斗?」


「明日、全部終わる
 そしたら、デートしよう」


「うん」


そういえば、最近デートとかしていなかった気がする
夏休み前なんて、テスト勉強で手一杯だった
(快斗はテスト期間暇だったらしいけど)


「行きたいとこ、決めとけよ」


「ありがとう、快斗」


そういうと抱きしめる力が少し強くなった気がした

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