キッドが向日葵を100億円で譲ると書いたキッドカードを置いていったらしい
治郎吉さんが館長と取引をし、100億円を準備することを約束していた

作戦会議が終わると中森警部が先に取引場所に向かうと部屋を出ていった
後を追うように、チャーリーさんも部屋から出ようとしていた


「お主も先に行くのか?チャーリー」


「いえ、大切なものを取りに……
 キッドキラー、なまえさんを頼む」


「うん」


館長が向日葵展を見せたい人がいるから招待してほしいと言った
毎日向日葵を見に来るおばあさんらしい


「そのおばあさん、今日も来てたよね?」


「うん、そうだね」


コナンくんと館長のそんなやりとりを聞きながら、私の頭の中ではおばあさんに言われた言葉が反芻した
快斗は私にしんぱいをかけるからって何も言ってくれない
私は快斗に力になれなくても、そばにいたいのに







ホテルにつくと私たちはモニターのある部屋に入った
コナンくんが高い位置にあるモニターが見えないようで、私が抱き上げようとするとチャーリーからは私より先にコナンくんを抱き上げた
そして、パソコンの前にコナンくんを座らせて、監視カメラの映像を見れるようにしてあげていた


「なまえさんも疲れるだろう、座ってくれ」


「ありがとうございます」


しばらくすると館長だけが取引の部屋に取り残された
コナンくんが真剣にモニターを見ているので、私もモニターをじっと見た
何か手がかりがあるかもしれない

その時、突然コナンくんが椅子から降りて、走り出した
部屋を出るときにカードキーを取ったのが見えたのできっと部屋に行くんだ

私も立ち上がると、チャーリーさんも一緒に立ち上がって、私の手をつかむとコナンくんを追って走り出した
そしてそのまま、エレベーターに乗り込んだ


「何があったんだ?」


「館長さんが飲んでいたペットボトルの水位が上がってたんだ
 おそらく、部屋の気圧が高くなってる」


「ヤツは何をするつもりだ」


「わからない…
 でも、一刻も早く部屋の気圧を戻さないとキッドの思うつぼだよ」


取引の部屋の前に着く
カードキーを差し込んでもドアは開かなかった
気圧の差で内側から扉が押されてる!とコナンくんが言った

その時、ボンっと爆発音がしてから、窓ガラスが割れる音がした

チャーリーさんが必死にドアに体当たりをし、ドアを開けた


「よし!開くぞ!」


「うん!」


コナンくんが腕時計型麻酔銃を構えた
ドアを開けると大量の紙幣が一気に流れ出してきた


「ぐっ!」


強風に乗り、乱れ飛ぶ紙幣の先にキッドがいた
チャーリーさんが銃をキッドに向ける


「キッド!!!」


強風の中、倒れないように壁に捕まりながら叫ぶ
キッドは私に気づいたようで、にやりと笑った

その瞬間、銃声がした
私はそれと同時に目の前が真っ暗になった

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